変態戦法

将棋マガジン1990年10月号、「屋敷vs羽生、十代タイトルホルダー徹底比較」より。

(12)アマチュア時代の活躍度

屋敷 小学生名人戦3位(六年)、中学生名人戦優勝(二年)

羽生 小学生名人戦優勝(六年)

(13)奨励会入会から卒業まで

屋敷 昭和60年12月~63年9月(2年10ヵ月)

羽生 昭和57年12月~60年12月(3年)

(14)奨励会時代のライバル

屋敷 深浦三段

羽生 森内五段、佐藤康五段、先崎四段、郷田四段

(15)師匠

屋敷 五十嵐九段

羽生 二上九段

(16)自分の棋風

屋敷 攻め(謎の棋風)

羽生 七・三の攻め将棋

(17)得意戦法

屋敷 変態戦法、相がかり

羽生 なし(何でも一通りやる)

(18)所属している研究会

屋敷 塚田研、江の島研、昇竜研、ハマ研

羽生 塚田研、島研、森研、米長道場

(19)愛読した将棋の本

屋敷 将棋マガジン(最初に買った本なので)

羽生 将棋に勝つ考え方(谷川浩司著)

(20)対局中のクセ

屋敷 初手を指す際に瞑想する

羽生 睨む

(21)投了の言葉

屋敷 負けました

羽生 負けました

(22)通算成績(8月10日現在)

屋敷 対局数101局 72勝29敗 勝率・713

羽生 対局数282局 217勝65敗 勝率・770

(23)最長、最短手数

屋敷 191手● 対中村七段戦

             37手〇 対木村孝五段戦

羽生 250手〇 対小林健八段戦

             51手〇 対神谷五段戦 

(24)最多連勝・連敗

屋敷 11連勝・3連敗

羽生 18連勝・4連敗

(25)棋戦優勝回数(タイトル戦戦績)

屋敷 優勝0回 タイトル挑戦2回 獲得1回

羽生 優勝8回 タイトル挑戦1回 獲得1回

(26)四段からタイトル獲得までの期間

屋敷 1年11ヵ月

羽生 4年

(27)(羽生or屋敷)がタイトルを取った時思ったこと

屋敷 夜のニュースで見たが、凄いの一言だった。

羽生 前期も挑戦してきわどかったので、それほど驚かなかった

(28)座右銘

屋敷 なし。ピッタリくるものがない

羽生 決断

=つづく=

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羽生善治二冠の奨励会時代のライバルに、羽生世代の丸山忠久九段と藤井猛九段の名前が見当たらないが、

羽生二冠は1985年12月18日に四段に昇段。

丸山忠久九段は、1985年1月に奨励会入会、1986年初段。

藤井猛九段は、1986年4月奨励会入会。

ということで、羽生-丸山戦、羽生-藤井戦は奨励会時代には行われていなかった。

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羽生二冠が愛読した本、「将棋に勝つ考え方」は非常な名著であると聞いたことがある。

将棋に勝つ考え方―異次元の大局観 (1982年) (谷川浩司の将棋新研究)
価格:¥ 735(税込)
発売日:1982-03

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気になるのは、屋敷棋聖(当時)が得意戦法と回答した”変態戦法”。

いろいろと調べてみたところ、

奇襲戦法・・・正しく応接されたら不利になる無理攻め戦法(鬼殺しなど)

変態戦法・・・変わってはいるが、不利にする手順が見当たっていない戦法

ということらしい。

近年でいえば、佐藤康光王将の「一手損向かい飛車△1二飛」、「モノレール向かい飛車」などは変態戦法のカテゴリーに入るのだと思う。

湯川博士さんの「奇襲大全」によると、

平成初期では、「居飛穴音無しの構え」、「偽装居飛穴急戦」など。

昭和では、「桂跳怖迫四間飛車」、「角換わり四間穴熊」、「一間飛車振り穴」、「一間飛車イビ穴」、「右米長玉戦法」、「筋違い角四間飛車」、「攻める居飛車風車」、「ヒラメ戦法」など。

過去のブログ記事 → 奇襲大全

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発売日:1999-03

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屋敷九段は変幻自在な指し回しで、当時は「お化け屋敷」、「忍者」と呼ばれていた。

しかし、その実力にもかかわらず、順位戦A級に登場するのは2011年から。

”早熟かつ大器晩成”というキーワードになるのだろうか。

こういうところも屋敷九段らしい。