将棋マガジン1992年6月号、「羽生善治の次の一手&詰将棋&クイズ」より。
大阪で対談
ある雑誌の企画で俳優の赤井英和さんと対談しました。浪速のロッキーと呼ばれたボクサーで、役者になってから三年位、最近公開された「王手」という映画の主役になった人です。赤井さんの地元、大阪の通天閣の近くで対談して、縁台将棋のポーズで写真を撮影したりしました。
ジャンジャン横丁にも初めて行きましたが、ちょっと東京にはない雰囲気の所でした。昼間から飲み屋がやっていましたし、天ぷらを揚げて売っていたりして。
でも、楽しかったですね。
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今日は、大阪で将棋ペンクラブ関西交流会が行われる。
私も1997年から2000年までは関西交流会へ遠征をしていたことがある。
通天閣がある新世界やジャンジャン横丁に生まれて初めて行ったのは、関西交流会に初めて参加した1997年のことだった。
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日曜日の午前中、天王寺駅から動物園の脇を通って新世界へ。
当時は、後に条例で禁止されてしまった路上カラオケ全盛期で、動物園の脇の道路では、至る所で聞いたこともないようなド演歌が大音量で歌われていた。歌に合わせて一人で踊っているお婆さんもいた。
「こ、こんな世界があるのか」
普通のことではあまり驚かない私だったが、結構なカルチャーショックを受けた。
(こんな雰囲気)→Youtube 大阪天王寺公園裏の路上カラオケ
Youtubeの映像は若い女性だからとても可愛いが、私が行った時は、塩辛声のオジサンが5mおきの間隔でド演歌を歌っていた。
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路上カラオケのインパクト冷めやらぬ頃、新世界に到着。浅草とも微妙に異なる雰囲気。言葉では言い表わすことができないような街のオーラがある。
この時、湯川博士さんと一緒に大阪へ行っていた。
「今日は大田さんいるかな」
湯川さんは大田学さんと付き合いが長い。
大田さんは、同じ年の3月まで放送されていたNHK朝の連続ドラマ「ふたりっ子」の主人公である野田香子(岩崎ひろみ=現在、NHK将棋フォーカスに出演)にとって、将棋のみならず人生の師匠となる銀じい(中村嘉葎雄)のモデルだ。
通天閣の地下にある通天閣囲碁将棋センターへ入っていく。
地下1階の5分の4が歌謡劇場の舞台と観客席で、5分の1が畳になっていて将棋も囲碁もできるようになっている。(囲碁将棋センターは2001年に閉鎖)
地下へ下りる階段には「演歌まつり」という派手なポスターが貼られている。
いつも演歌をやっているのに、あえて「演歌まつり」と銘打つところがすごい。
歌謡ショーは午後から始まるのだが、すでに花束などを持ったお客さんが何人も観客席に座っている。
「やあ、大田さん」
湯川さんが声をかける。
「やあー、久し振りだね。こっちへおいでよ」
伝説の真剣師 大田学さんだ。
(つづく)
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