元・近代将棋編集長で将棋ペンクラブ幹事の中野隆義さんからブログに頂いたコメントの中から。
森信雄七段編
森信雄六段(当時)の結婚式ヘのコメント
もりのぶ流の結婚で思い出しますのは、私めはそれほど驚かなかったといいますか、むしろ結婚する運びになったのはごく自然なことだなあと思っていました。ただ、周囲の皆さんのほとんどが「えーっ! ほんとかよ」という反応だったので、それにあわせて一緒に驚いたふうをしていたのでありました。
私めは、よく、だれかとお酒を吞んだり、マージャンを打ったり、ゴルフやカラオケなどなどいわゆる遊びをしているときに、ふと、ああこの男の嫁さんになった人は幸せになるだろうなあと思うことがありまして、もりのぶさんと一回マージャンを打ったときにもそう思ったのでした。
「冴えんなあ」と口にしながら牌を捨てる森信雄七段の姿が目に浮かぶ。
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村山聖九段編
村山聖五段(当時)の四角いジャングル(前編)ヘのコメント
村山流とは、一緒にお酒を少しとマージャンを少し以上したことがありました。危険ハイをブンと場に打ちつけると同時に顔が45度くらいかしがるのがクセで、最初のうちはかわゆいクセだなとのほほんと思っていましたが、そのハイを通してしまうとしばらくしてロンと言われ今度はこちらの首が90度くらいひん曲がってしまうことになるので、村山流の首がグイとかしがってくると、ひえーっと心の中で最大級の警戒警報を打ち鳴らしたものです。
誰にでも命の持ち時間というのはあるのだけれど、それを意識しないで生きている時間のほうが誰しも長いものです。村山流と一緒にいると、ああ、村山にもあるけれど、俺にも、いや誰にだって持ち時間はあるんだよなと思うのでした。
野本流呼び出し事件の原稿を当時見たとき、なして俺に電話してくんなかったのだろう、夜中だろうがなんだろうがすっ飛んでいくのにと、不満半分不思議半分思ったのですが、今にして思えば、「一般人のおいちゃんを呼んで大怪我させちゃ可愛そうだ」と泉流は思ったのでしょう。
丸田流は、マージャンを一晩打つと7~8割のハイの背中を覚えたそうです。「全部覚えようとすれば覚えられるのだけれど、そんなことしてもしょうがないからしないんだよ」と仰るんで、は??? という顔をしましたら、「覚えようとして覚えてるんじゃなくて、やってると自然にそのくらい覚えちゃううんだよ。自然に覚えちゃうもんはしょうがないだろ」と、聞かされて、鈴木輝彦流ではありませんが、めまいがしたものです。ただ、覚えていれば必勝かというと、そうでもない場合も多く、ヒラで打っても強い者がある程度のハイの背中を覚えていると有利になることがままあるということのようです。
丸田流とも何回か打ったことがありますが、とにかく場にきついハイがほとんど出てこない・・・・んで、あれっいつも降りているのかな? という感じです。ときどき、強いハイが一つ二つ出てきたかと思うと、それは村山流が首をかしがらせたあとに起こることがドーンと起こっちゃうのでありました。おー、こわ。
プロ棋士と麻雀を打ってはいけないという教訓が得られる。
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村山聖五段(当時)の四角いジャングル(後編) ヘのコメント
テレビ東京で早指し選手権戦の司会進行を務めていた島田アナウンサーも大のマージャン好きでして、月に一度の東京将棋記者会例会のときには読売の山田さんと二人で、あと二人を探しまわっていました。私めにもちょくちょく声をかけて下さりまして、そのときは余ほどの用事がない限りホイホイと面子に加えていただいたものです。島田さんと初めて打ったときに受けた衝撃は今でもよく覚えています。
リーチをかけた島田さんが一発目のツモハイを見るや、「いっぱあーつっ」と叫んだのでした。あれっ、俺とおんなじだあ、と、普段は紳士然としている島田さんが発した歓喜の叫びに痛く感動いたしました。
一発にかける思いが強い人は、一発で上がる率が自然に高くなります。あるとき島田さんの一発を警戒した私めが、島田さんのリーチ直後にチーを入れて一発を消しましたら、島田さんは子供がものすごく大事にしているものを取られてしまったようなとても悲しい顔をして「あーー」とこれまた深い悲しみの声を出したのです。島田さんの声は、俺、これが楽しみなんだからさ、一発消さないでよ頼むから、と言っているかのようでした。その後、私めは、島田さんがリーチをかけたときは、島田さんが無事に一発目のツモをするまでポン・チーを入れないようにしていたのですが、私めが一発期待の多面ちゃんでリーチをぶっかけたときに、島田さんが「なんだか一発でツモリそうな気配がするから・・・ここはひとつ鳴いておこう」と言ってチーをしたのには、正直、ひどいですよーと思いつつも、す、鋭い、と感じたものです。
テレビ東京のアナウンサーだった島田良夫さん。
「テレビ将棋対局の時間でございます。朝のひとときを早指し将棋でお楽しみください」が番組冒頭の定番の台詞。
パーティーなどで島田さんと山田さんが並んでいるのを見たりすると、とても嬉しくなってくる。