森下卓八段(当時)の将棋世界の読み方

将棋世界1999年1月号、森下卓八段(当時)の自戦記「加藤棒銀と闘う」より。

 将棋世界は毎号すみからすみまで読み尽くす。自分が原稿を書いているので、他の人の原稿が気になるということもあるのだが、そんなことは抜きにしても、どの欄も実に楽しく、面白い。

 それにしても、本誌のボリュームはすごい。一ヵ月では読み終わらないという方も多いのではないだろうか。

 私の基本的な読み方は、まず目次に目を通したあと、ゆっくりとグラビアを眺める。先月号までは、グラビアを眺める前に島さんのエッセイを読むことが楽しみだったのだが、終わってしまったのがとても残念だ。

 グラビアをゆっくり眺めたあとは、内藤先生の懸賞詰将棋に取り組む。ここまでで一段落。あとは自由に読み進む。詰将棋や次の一手などの問題は、電車の中で取り組むことが多い。付録も含めて、将棋世界は外出時の必需品だ。

 棋譜が載っているページは、棋譜を並べながら読むことが多い。先月号の「将棋論考」の升田-芹沢戦は実に面白く、また参考になった。現在の将棋と感覚が全く違う。真部先生の解説も読み応えがあり、是非とも盤に並べて鑑賞して頂きたいものだ。

 とにかく、タイトル戦の解説、講座、読み物、棋界情報と盛りだくさんの内容である。焦らずにゆっくりと読んで、750円で1ヵ月、大いに楽しんで頂きたいと思う。

 さて、実は私が一番気になっている欄は、行方君の自戦記である。同じ自戦記を書く身として、内容が気になるのは当然だが、もう一つ気になるのは原稿の提出だ。行方君は遅筆家だそうだが、私も遅い。いつも締め切りギリギリで、編集部の方に迷惑をかけている。

 忙しくて書く時間がないというわけではないのだが、どうしたものか締め切り間際にならないと筆が進まない。困ったものだ。

 しかし、困ってばかりではいられない。新年を機に心を入れ替え、万事ゆとりをもって、怠りなく着実に進めたい。

(以下略)

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行方尚史五段(当時)の同じ号の自戦記は、2009年12月のブログ記事に載っている。→「吐いちゃいな」。

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プロ棋士も将棋世界の「次の一手」や「詰将棋」を解くとは、想像もしていなかったことだ。

しかし、言われてみれば「なるほど」と思う。

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棋譜を盤に並べれば、もっと強くなれるのだろうが、分かっていてもなかなかできることではない。

中学生の頃は、将棋世界に掲載されていたほとんどの棋譜を並べたのに・・・

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多くの棋士は、棋譜データベースが提供されるようになっても、棋譜を印刷して盤に並べていたという。

やはり、手を使って指すのとパソコンの画面で棋譜を再生するのとでは大違いなのだろう。

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将棋世界は今日発売される。

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価格:¥ 750(税込)
発売日:2012-07-03

心を入れ替えて、棋譜を盤に並べてみようかと今の瞬間は思っているのだが・・・