将棋世界2003年1月号グラビア、「森内俊之 まきは 結婚披露パーティー」より。
秋晴れの11月3日。10月に結婚式を挙げた森内俊之名人と新婦・まきはさんを祝うパーティーが東京・六本木の「国際文化会館」で華やかに行われた。将棋界からは羽生善治竜王、谷川浩司王位をはじめ数多くの関係者が出席し、新郎新婦の門出を祝福した。
学習院大学講師のまきはさんは平安時代の和歌を教えている才媛。関係者の話によれば二人の馴れ初めは、3年前に森内名人の研究会仲間の行方尚史六段が開いたある食事会で、たまたま出席したまきはさんと森内が知り合って意気投合。以来、親交を深めてきたとのこと。祝辞を述べた佐藤康光棋聖が、
「森内君がそうした食事会で女性と親しくなった話は以前にもあったけど、それ以上進んだ話は聞いたことがない。それが今年のA級順位戦で彼と指したとき、終局後に席を外した彼がなかなか戻ってこないので、何かあるなとは思っていました(笑)」
と親友らしい話を暴露すると、出席者たちから笑みがこぼれた。
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この翌年の2003年5月、名人戦で森内名人が羽生挑戦者にストレートで敗れ無冠になる。
6月、湯川博士・恵子夫妻の結婚30周年のお祝いが、埼玉県森林公園の温泉施設で行われ(日帰り貸切バスツアー)、湯川夫妻と縁のある50名ちかくが招待された。
湯川博士さんのチェス仲間だった森内九段(当時)も参加。
当日の朝は池袋集合。森内九段は当時新婚の奥様に見送られバスに乗ってきた。奥様はバスが発車したあともずっと見送っていた。
森内九段の復活はすぐに始まった。
この年の竜王戦で羽生竜王から竜王位を奪取、年が明けてから羽生王将から王将位を奪取、名人戦では羽生名人から名人位奪取。
そして名人戦での防衛を重ねて十八世名人に。
少なくとも関根金次郎十三世名人以降、永世名人になるには見合い結婚、というジンクスが続いてきたが、森内名人がこれを打ち破った。