将棋世界1993年10月号、神吉宏充五段(当時)の「対局室25時(大阪)」より。
8月18日、水曜日。夕方、会館に顔を出すと師匠の内藤先生が喫茶店で話をしているのが見えた。
挨拶に行くと「おお、今日はどないしたんや勉強か・・・・・・まあええわ。今から飲みに行こか」と上機嫌。
「お供させていただきます」は定跡。かれこれ8時間は飲んだだろうか・・・。師匠はかなり酒を飲んでいるはずだが、一向に崩れる様子はない。と思った瞬間である。
「神吉、ちょっと来い!」
「はっ、はい」
近づくといきなり師匠は私のおでこに顎をあてて上下に揺する。
「な、どうしたんですか師匠!」
「どや、じょりじょり言うとるやろ。チクチクせえへんか」
「し、します・・・・・・」
「そうか、はっはっはっ」
何かわからんけど、ごっつい驚いた神吉であった。おおこわ。
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誰でもビックリすると思う。
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このことが起きた直前の話題は何だったのか、居酒屋でのことなのか女性のいる店でのことなのか、二人だけで飲んでいたのか三人以上で飲んでいたのか、キタだったのかミナミだったのか、興味は尽きない。