郷田真隆王位(当時)の「相撲ファン激白」

近代将棋1993年4月号、故・田辺忠幸さんの「将棋界 高みの見物」より。

 郷田真隆王位の卓見には恐れ入った。といっても、将棋ではなく、相撲の話なのだ。

 読売新聞社発行の月刊相撲専門誌「大相撲」2月号(初場所総決算号)のページを繰っていると、郷田王位の写真が目に飛び込んできたのでびっくり。何事かと思ったら「相撲ファン激白」という欄にゲストとして登場し、勝負師の目から見た相撲の社会を評論し、正論を吐いているではないか。題して「兄弟でも真剣勝負をするのがプロ」―。

 郷田発言を要約して紹介しよう。まず同部屋対決がないのを非としている。

「”勝負”という点では相撲と同じですが、将棋は師弟でも兄弟弟子でも真剣勝負をしますから、同部屋同士の対決がないのには物足りなさを感じます。相撲は部屋別の対抗意識が強いから、ということもあるでしょう。でも八百長をやるおそれがあるのが理由だとしたらおかしい。現に決定戦ではやっているわけでしょう。将棋だったらどんなに仲のよい相手とだって勝負となれば別なんです。兄弟だって真剣にやれるし、やらなければプロとはいえないはずです。それに公平ということからいえば、当然合わせるべきですよ。曙と貴ノ花を比べたら、あまりにも条件が違い過ぎますよ」

 次に相撲界の現状をバッサリと切る。

「今、相撲人気がすごいといっても、ほんとに相撲が好きで、相撲が見たくてしょうがない、という人は少ないと思う。せいぜい相撲取りをミーハー的に好きになる程度で、相撲が好きなんじゃないという気がします。つまり、人気はあるけれど、柱がしっかりしていない。ですから相撲協会も人気を取るだけを考えて、人気に浮かれてフラフラするんじゃなくて、もっと相撲内容の充実を図るべきだと思います」

「横綱という地位は独特なもので、将棋の名人と違って一度なったら、後は引退しか道は残されていない。それだけに横綱に上がる基準を、できるだけ厳しくしたほうがいいでしょう。ちゃんと実力を身につけた人を横綱にすべきですよ」

 最後に貴ノ花、若花田について。

「話題の若・貴は好きでも嫌いでもないですよ。関心がないというわけでもないですが、まだ魅力は感じません。若・貴は今、相撲を取るのに一生懸命で味が出ていないんですよ!」

 これらの意見は、東京相撲記者クラブの会友でもある見物子が書いたり、しゃべっていることと全く合致しており、わが意を得たりというところ。郷田王位は第一級の相撲評論家といえる。相撲協会の幹部は郷田発言をよくかみしめなさい。

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郷田真隆九段の趣味は「スポーツ観戦」であるが、20年も前にして、第一級のスポーツ観戦の目を持っていたということが分かる。

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1993年は、1月の初場所で貴花田が大関に昇進している。

大関昇進の記者会見で、貴花田が貴ノ花と改名することと、宮沢りえさんとの婚約解消が発表された。

曙が横綱になるのはこの年の3月なので、郷田王位(当時)のインタビューの時は曙はまだ大関。貴花田と宮沢りえさんの婚約解消も発表されていなかった頃と思われる。

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曙は現在はプロレスラーやタレントとして活躍しているが、昨年11月、「アケボノステーキ」というステーキ店をオープンしている。

アケボノステーキ

私がいつも乗り降りする駅の至近距離にあるので、いつかは行ってみたいと思っている。

ランチタイム(ライス、サラダ、ドリンク付き)でカットステーキ(150g)1,000円、ボトムサーロイン(200g)1,800円、リブロース(200g)2,200円などのメニュー。

ディナータイムには曙ステーキ(640g)4,900円というメニューも。

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故・田辺忠幸さんは共同通信時代、運動部で将棋と相撲を担当していた。

両国の回向院の「東京相撲記者碑」には田辺さんの名前が刻まれている。

田辺さんは生前、半分冗談で、鳩森神社にも物故将棋記者碑を作るべきだ、と話をされていた。

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この頃の宮沢りえさんは激動の時期だったかもしれない。

1991年11月に、写真集『Santa Fe』(篠山紀信撮影)を発売。

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価格:¥ 4,587(税込)
発売日:1991-11

1992年11月に貴花田との婚約発表。

1993年1月に婚約解消。

デビュー当時から、特に宮沢りえさんのファンでも何でもなかった私だが、宮沢りえさんを一気に高く評価することになったきっかけが、1995年のテレビドラマ「北の国から’95秘密」。

明るく優しくも薄幸だった女性の役を演じるのだが、それがあまりにも素晴らしかった。

いろいろあったけれど、激ヤセもしたけれど、そのような経験が彼女を更に大きく育てたのだと思った。

・・・と書いていると、私が1995年にそう感じたと思われるかもしれないが、「北の国から’95秘密」を真面目に見たのは2003年12月。

一人で富良野へ行って、夜、時間があったので、ホテルの売店で「北の国から」のビデオを借りようと思い、たまたま選んだのがこの「’95秘密」だった。

ボロボロ泣いて、翌日は、すぐに、「北の国から’98時代」を借りに行ったほど。

その後、私は「北の国から」のDVDをたくさん買うことになるのだが、そのきっかけを作ったのが、「北の国から’95秘密」だった。

東京に戻って最初に買ったDVDも、見たばかりの「北の国から’95秘密」。

それにしても、スキー客120%の12月下旬の新富良野プリンスホテルに一人で二泊三日してきて、スキーもせずに(そもそもスキーができない)、二晩とも部屋で「北の国から」のビデオを見る。

富良野へ行く用事はあったにせよ、もう二度と経験できないようなことだと思う。

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発売日:2003-04-02