行方尚史四段(当時)「責任をとってやめさせて下さい」

将棋世界1994年10月号、大崎善生編集長(当時)の編集後記より。

 竜王戦挑戦者決定戦にまで躍り出た行方四段が中井女流名人と並んで、今や時の人。 

 ある日、その行方君が編集部に余詰を出したことを謝罪に。実は彼は奨励会時代からの優秀な検討陣の一人なのです。

 「責任をとってやめさせて下さい」「将棋が忙しいの?」「そうではありません」「じゃ頼むよ」。しばらくあって、一生懸命やりますから、もし竜王になっても続けさせて下さい。いい男です。

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行方尚史四段(当時)は、四段になった1年目に羽生善治五冠(当時)との竜王戦挑戦者決定戦にまで進出した。

その頃の話。

行方四段の一途さと純粋さが表れている微笑ましいエピソードだ。

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「余詰を出した」とは、行方四段が余詰を出したのではなく、検討担当である行方四段が他の人が作った詰将棋の余詰を発見できなかったということ。

将棋世界に掲載される「次の一手」あるいは詰将棋の付録の問題は、奨励会員などが完全作かどうかなどのチェックを行っていると、将棋連盟職員の方から1996年に聞いたことがある。

システムで言えば、バグ探しに相当する作業。

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今日発売されるNHK将棋講座6月号の、後藤元気さんの「渋谷系日誌」に書かれている行方尚史八段のエピソードが最高に面白い。

3月に静岡市の「浮月楼」で行われたA級順位戦最終戦一斉対局の前日の夕方のこと。

同じ新幹線で静岡入りし、「浮月楼」までの地図を手に持ち静岡駅前にたたずむ棋士たち。

「浮月楼」は静岡駅から歩いて3分の距離だが、地図は土地勘のない人にとってはやや難易度が高い感じがするものだったという。

「浮月楼」のホームページに地図が掲載されている。もしかすると、この地図が配られていたのかもしれない。→「浮月楼」までの地図

たしかに「浮月楼」は、駅(地図の右下)から見て、微妙な位置にある。

登場人物は、行方尚史八段、後藤元気さん、渡辺明二冠、三浦弘行九段、佐藤康光九段、深浦康市九段。

道に迷うかもしれない状況下での、それぞれの棋士の個性が光り輝く。

ぜひ、NHK将棋講座6月号をご覧ください。

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価格:¥ 545(税込)
発売日:2014-05-16