河口俊彦六段(当時)が見た窪田義行四段(当時)

将棋世界1995年6月号、河口俊彦六段(当時)の「新・対局日誌」より。

 最近の新四段は、エリート型より、精進努力を重ね、年齢制限ぎりぎりで昇段、といった、感動型が多い。

 窪田四段はそのどちらでもないが、昨年あたりから力をつけはじめ、見ているとたいてい勝っている。この日の相手は佐藤(秀)五段。絶好調同士の対戦である。

(中略)

 勝った後「最後は寿命がちぢまりました」。窪田君は本当に胸に手を当てた。そういうのを聞くと、負けて佐藤は強し、と思うし、その佐藤を負かしたのだから窪田も相当だ、という評価が生じる。プロ棋士はそんなことばかり考えているのである。

 それにしても窪田君は異色の棋士と言うべきだろう。まず駒を打つ手つきが変わっている。人差し指と中指が恐ろしくそる。そして指したあと、あらぬ方に焦点の定まったまなざしを向ける。早口でなにやら呟くが、それを書き取って読めばまともでも、雰囲気からして、変なことを言っているように聞こえてしまう。もし、テレビ対局によく出るようになれば、特異なキャラクターで人気者になるだろう。羽生対窪田戦なんか見たいものの一つだ。

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河口俊彦六段(当時)の表現が、的確というかとても面白い。

この河口六段の予言は見事に当たって、NHK杯本戦トーナメントへの出場、ネット中継、ニコ生などを通して、窪田義行六段の人気はどんどん高まってきた。

7月24日の王位戦第2局での窪田六段のtwitter解説も、丁寧で非常に好評だったようだ。

窪田六段のキャラクターとともに、形が乱れることをいとわない力強い窪田流四間飛車、窪田ワールドはその双方が融合して築き上げられている。

4年前のことになるが、朝日杯将棋オープン戦 高橋道雄九段-窪田義行六段戦での銀杏記者の中継が、窪田六段の対局中の個性を絶妙に表現している。

窪田義行六段の持ち味