三浦弘行九段が少し心配したこと

今日放送されたNHK杯戦、佐藤天彦八段-郷田真隆王将戦の観戦記を書かせていただきました。10月16日発売のNHK将棋講座11月号に掲載されますので、ぜひご覧ください。

今日は、観戦記に盛り込むことができなかった控え室でのエピソードを。

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始めに、NHK将棋講座2015年9月号、後藤元気さんの「渋谷系日誌」より。

 いつからだったか、NHK杯戦の控え室には2、3枚組の資料が置かれるようになりました。
 これは『ら抜き言葉に気をつけましょう』という注意書きで、将棋の収録に限らずNHKの番組全般に対して、視聴者の方から「ここのところ、ら抜き言葉が多いのではないか」というご意見が届いたためなのだそう。

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対局前の控え室、解説の三浦弘行九段は、「このような資料ができたんですね」と言いながら『ら抜き言葉に気をつけましょう』の資料に目を通していた。

研究熱心な三浦九段なので、プロデューサーなどと雑談をしながらも、資料をかなり深く読み込んでいる。

そのうちに、話題が、NHKでは放送で商品名や商標は基本的に使わずに、一般名称を使うということに移っていった。

たしかに、NHKでは「東京ディズニーランド」とは言わず、「浦安にある大型遊園地」のような表現を使っている。

すると、三浦九段が思いつめたような表情になって、

「例えばですよ、僕が清水さんから群馬県について聞かれた時に、『ぐんまちゃん』いう言葉を使っても大丈夫なんでしょうか?」

三浦九段は、司会の清水市代女流六段から解説の時に、三浦九段が住む群馬県のことを聞かれると想定して、入念な準備をしてきていたのだろう。

三浦九段が真剣な表情でぐんまちゃんと言うのが可笑しいのと、群馬県から一気にぐんまちゃんに飛躍するのも可笑しいのとで、私は笑いをこらえるのが大変だった。

このようなところも、三浦九段の魅力の一つだ。

ぐんまちゃん』は群馬県のゆるキャラで、2014年の「ゆるキャラグランプリ 2014」ではグランプリを獲得している。

NHKのニュースで、『ぐんまちゃん誕生日にあらいぐんまちゃん登場』と報じられたこともあったようなので、自治体に密着したゆるキャラは大丈夫のようだ。

司会の清水市代女流六段は、控え室の外の打ち合わせコーナーで、郷田真隆王将に事前取材をしているので、この話の間、控え室内にはいない。

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対局が始まると、序盤から指し手が早く、力のこもった大熱戦。

大熱戦であったため次々と指し手の解説が続き、清水女流六段から群馬県や三浦九段の私生活についての質問が出ることはなかった。

三浦九段の手の見え方が冴えた解説だったが、もし三浦九段が群馬県について聞かれていたらどのような話をしてくれていたのだろうと、今でも気になっている。