将棋世界1995年7月号、中野英伴さんの「風の写真館」より。(写真は中野英伴さん撮影の写真の一部)
炎帝の陣法極まる殺気かな
〔写真と俳句〕中野英伴
郷田真隆五段
第33期王位戦第1局/1992年7月10日午後/三重県「伊勢志摩ロイヤルホテル」
———-
写真は、1992年の第33期王位戦〔谷川浩司王位-郷田真隆四段〕第1局。
郷田真隆四段(当時)は、並行して棋聖戦でも谷川浩司三冠(当時)に挑戦していた。
6月16日の棋聖戦第1局から9月9日の王位戦第6局まで、谷川-郷田戦のタイトル戦が約3ヵ月間に10局戦われた。
棋聖戦は3勝1敗で谷川棋聖が防衛、王位戦は4勝2敗で郷田四段が王位を奪取している。
——–
炎帝とは、夏を司る神。太陽。
中野英伴さんは、デビュー3年目で夏に行われる2つのタイトル戦の挑戦者となった21歳の郷田四段を炎帝にたとえている。
郷田四段はこの頃”プリンス”と呼ばれており、まさに夏を司る神・太陽の形容はピッタリと言えるだろう。
——–
実際の将棋世界のこのページは、中野英伴さんのフルサイズの写真と縦書きの俳句の組み合わせで、もっともっと迫力がある。
——–
写真の王位戦第1局は、郷田四段が逆転勝ち。
郷田四段が、「あんまりひどい手を指すので、谷川先生も戸惑われたか」と書いている一局だ。