「不思議な魅力をたたえた挑戦者、ゴルゴ13、将棋の虫、寒がり」と言われて

将棋世界1995年8月号、巻頭グラビア第66期棋聖戦第1局「三浦弘行五段、初舞台に立つ」より。

 不思議な魅力をたたえた挑戦者が現れた。 

 三浦弘行、21歳、五段。ゴルゴ13という穏やかならざる風評から将棋の虫という評判まで、対局以外には将棋連盟に顔を見せないため噂が噂を呼ぶ。

 そんな三浦がついにタイトル戦に登場した。挑戦者決定トーナメントで谷川、森下をねじり倒してきた豪腕で羽生将棋をぎゅっと絞めつけることができるのか?

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将棋世界1995年9月号、泉正樹六段(当時)の「公式棋戦の動き」より。

 棋聖戦では羽生に挑戦し、3タテながらも接戦で実力を示した三浦。むしろ、これからの戦いが本人にとって大切となってくる。

 1図の青野戦は羽生に2発食った直後の対局であったが、微塵も落ち込んだ様子などない。ただ、観戦記者の「得意の振り飛車穴熊は考えなかったの?」の質問には、「振り飛車の調子が悪いもんで……」と、面白い回答をしていた。

三浦青野

 図からの指し手も個性的で面白い。▲7七桂△7一飛▲8五桂△7五歩▲8六角△7六歩▲6四角。玉側の桂で歩をむしり、次は手順に角をさばいてしまった。これで優勢という訳ではないが、勇気がないと、思いついても指し切れない順だ。以降、入玉含みで青野を焦らせ、5三の地点まで玉が突撃。まともでないのがいいじゃないですか。

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将棋世界1995年10月号、泉正樹六段(当時)の「公式棋戦の動き」より。

 2図の三浦-村山戦は個性派同士の対決。

 似たような風貌だが、村山は極度の汗っかき。対して三浦は正反対の寒がりで、30度を超える暑さでも決して背広を脱ごうとはしない。鬼面人も近づき難いが対局室は無事平温。

三浦村山1

 序盤戦で工夫をこらした村山に、三浦は思案投げ首。△4五歩を嫌うなら▲3六歩だが、△4六銀▲同金△5七角で不快な気分に陥る。

 来るなら来いと、開き直るのが三浦将棋の真骨頂。図より、▲7九玉△4五歩▲5五歩△同銀▲5八飛△4六歩▲5五飛△4七歩成▲5三飛成△5二飛と両者一歩も引かない打ち合いに。さすがにこの順では4七のと金が大きく村山に軍配。三浦には序盤が心残り。

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昨日のB級1組順位戦で三浦弘行九段と稲葉陽七段のA級への昇級が決まった。

(丸山-三浦戦は丸山九段の勝ち、木村-谷川戦は谷川九段の勝ちで、三浦九段の昇級が決定。畠山(鎮)-稲葉戦で稲葉七段が勝ち、稲葉七段の昇級が決定)

近年のB級1組はA級とほとんど変わりがないような構成メンバーであり、A級からB級1組になったとしてもすぐにA級に復帰できるような環境ではなくなってきている。

そのような中で、1年でA級に復帰した三浦九段はさすがであるし、1年でB級1組を駆け抜けた稲葉七段も凄い。

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三浦弘行五段(当時)の棋風について「まともでないのがいいじゃないですか」という泉正樹六段(当時)の感想が面白い。

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村山聖八段(当時)と三浦弘行五段。

タイプは異なるが、たしかに似たような雰囲気があるような感じがする。

三浦弘行六段(当時)は、別冊宝島440号(1999年4月刊行)「将棋これも一局読本」での「故村山聖九段とはどんな男、棋士だったか」の質問に対し、

「棋士は職業上、どうしても性格に癖があるのが普通ですが、村山さんにはそういったものが感じられず、プロ棋士のほとんどの方に愛されていたと思います」

と答えている。

42人の棋士が語る故・村山聖九段

 

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