木村一基七段(当時)「序盤で早くも一歩損。もう駄目だ」

将棋世界2005年12月号、「第64期順位戦」より。

「序盤で早くも一歩損。もう駄目だ」と今日も木村がしゃべっている。昼、事務室でのおなじみの光景。ユーモラスな口調に、皆ニコニコ笑っている。それはそうでしょ木村さん、あなた横歩取りやっているんですから。

(以下略)

——–

同年代の行方尚史八段が「序盤で早くも一歩損。もう駄目だ」と言えば、シェイクスピアの劇を見ているような深刻な雰囲気になるだろうし、三浦弘行九段が言えば、本当であることを疑う人はいないだろう。

山崎隆之八段が言ったなら、有利・不利を問わずいつもの自虐的なボヤキにしか聞こえないだろうし、石田和雄九段がボヤけば、今有利に進めているんだろうなということになる。

豊川孝弘七段なら「序盤で早くも一歩損。コマネチ」となるだろうし、福崎文吾九段なら、もっと異空間のボケ方になるだろう。

木村一基八段らしい、木村八段にしかできないような芸だと思う。