「王将の水」

将棋世界1981年2月号、「千駄ヶ谷駅に駒形の水飲み台」より。

 将棋会館近くの国鉄「千駄ヶ谷駅」のプラットホームに石造りの大きな将棋の駒のデザインで水飲み台が完成した。将棋連盟の協力によって造られたもので、駒の表面には王将(大山十五世名人書)の文字、裏面に千駄ヶ谷駅の由来が彫ってある。愛称「王将の水」と呼ぶことにしたという。12月25日に除幕式が行われた。

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JR千駄ヶ谷駅ホームの王将の水飲み台は1980年12月25日に除幕式が行われた。

将棋文化検定の問題にさえ出なさそうな超マニアックな記念日。

ちなみに1980年12月は、ジョン・レノンが8日に、 ケンタッキーフライドチキン創業者カーネル・サンダースが16日に亡くなっている。

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JRが国鉄だった時代。これを見ると、国鉄から日本将棋連盟に協力依頼があってできたものであることがわかる。

Wikipediaの千駄ヶ谷駅の項には、

1980年(昭和55年)12月:ホームに将棋の駒のオブジェ設置(日本将棋連盟より寄贈)。

と書かれているが、

  • 水飲み台に”設計協力 社団法人 日本将棋連盟”と彫られており、寄贈なら”設計協力”ではなく”寄贈”となっているはず。
  • この頃、関西将棋会館建設のために精力的に募金活動を行っていた時期であり、その最中に水飲み台とはいえ寄贈するのは空気的にやりづらい時期。
  • そもそも寄贈したのなら、将棋世界にも寄贈したと書いているはず。

ということで、主体は国鉄で、日本将棋連盟が設計協力と思われる。

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Googleで「千駄ヶ谷駅 王将の水」で検索しても「王将の水」という言葉は出てこない。

当初は愛称「王将の水」だったものが、その後長い時間をかけて愛称が風化していったものと思われる。

国鉄がJRに変わった時も、国電がE電と呼び変えられたが、あっという間に誰もE電と言わなくなった。

愛称は難しい。