NHK将棋講座2017年4月号「千田翔太六段-佐藤康光九段戦」

今日は、NHK将棋講座2017年4月号の発売日。

◯表紙は船江恒平六段のイラスト。表紙の意外な場所に、4月から講座の聞き手となる室谷由紀女流二段の写真も載っている。

◯4月号から誌面を刷新。今月号は講座が46ページと手厚い。

○4月からの新講座は、船江恒平六段の「終盤は筋よく指そう」。講座の半年間のねらい、テキストの有効な使い方(読み方)がはじめに説明されているのが新鮮。

4月のテーマは「最終盤の形を覚えよう」で、終盤の基本中の基本である勝負が決着する状態(詰み、詰めろ、必至)について解説されている。

第1回はプロローグとして実戦を題材とした終盤の流れの説明、第2回からは初級者の方にもわかりやすい寄せの基本手筋の説明となっている。船江六段のコラムも毎週1回あって楽しめる。

◯後藤元気さんの「渋谷系日誌」が今月号から2ページに増ページ。今回はNHK杯 千田翔太六段-佐藤康光九段戦でのアマチュア向け変化の紹介と解説の森内俊之九段がリハーサル時に話したバージョンの両棋士の紹介、広瀬章人八段が結婚を発表した前夜のエピソード。テーマの可能性が広まるのでこれからも楽しみ。

○将棋連盟からのお知らせ

○女流棋士会からのお知らせ

○日本女子プロ将棋協会からのお知らせ

○付録は「第66回NHK杯戦 激闘の軌跡」。今期のNHK杯戦での次の一手形式の選りすぐりの妙手。今回は1回戦、2回戦編。

〔NHK杯戦観戦記〕

◯準々決勝第1局 千田翔太六段-佐藤康光九段

「角交換振り飛車最新型」 観戦記:私

◯準々決勝第2局 久保利明九段-橋本崇載八段

「勝つことの難しさ」 観戦記:岩田大介さん

◯準々決勝第3局 佐藤和俊六段-村山慈明NHK杯

「終盤で二転三転」 観戦記:上地隆蔵さん

◯準々決勝第4局 佐藤天彦名人-永瀬拓矢六段

「名人の革命的戦法」 観戦記:鈴木宏彦さん


ということで、今月号には私が書いた観戦記(千田翔太六段-佐藤康光九段戦)が掲載されています。

視聴者が驚いた佐藤康光九段の△3一香と△1八歩。千田翔太六段の気概。佐藤康光九段が嬉しそうな顔をしながら心動かされたこと。解説の森内俊之九段の自由奔放な佐藤康光九段評。対局前の控え室や対局後や後日のエピソード、感想戦や後日の検討内容など、テレビには映らなかった部分も盛り込んでいます。

NHK将棋講座2017年4月号、面白い記事が満載ですので、ぜひご覧ください。

 

 

 

仏の感想戦・鬼の感想戦

将棋世界2001年9月号、神崎健二七段(当時)の「本日も熱戦 関西将棋」より。

 桐山は久保を破った星に続いて2連勝の好スタート。

 感想戦の会話も、若手どうしの感想戦とは一味も二味も違う。

桐山「これは自信がないです」

中原「自信がないと言われても私も自信がない」とか、

桐山「ゴシゴシ行く一手!」

中原「ゴシゴシか…」

桐山「ゴシゴシゴシゴシっと」

というふうに、波長の合った会話の感想戦は続く…。

 横では阿部隆七段対田中寅彦九段戦。

(中略)

 先ほどの場面から約1時間後に阿部勝ち。感想戦の最中。盤面は8図。

阿部「△5五銀見てもうやめて帰ろうかなと思いました」

田中「それならばやめて帰ってくれなくちゃ困るよ」

 会心の指しまわしから、以下の信じられない失速にぼやく田中。

8図以下の指し手
▲5五同金△同歩▲4五歩△6五桂(9図)

 このあともいろいろとこうすれば良かったという場面はあったが、この9図の△6五桂のかわりに△3三銀と壁銀をひとまず直しておけば盤石で田中良し。

「それならばほんとうにやめて(投了して)帰ってますね」と阿部も同意。

(以下略)

—————-

将棋世界2001年12月号、河口俊彦七段(当時)の「新・対局日誌」より。

 阿部七段はおもしろいところがあって、勝ったときと負けたときとでは、感想戦での口調がまるで違う。勝ったときは、日本一の善人になったみたいに、相手の言い分にうなずき、私がわるうございました、となる。その代わり、よい将棋を負けたりしたら大変だ。ありとあらゆる手に呆れてみせる。具体的な言葉を今は思い出せないのが残念。今度はメモを取っておこう。

(以下略)

—————-

阿部隆八段の感想戦は面白い。

河口俊彦七段(当時)は「その代わり、よい将棋を負けたりしたら大変だ。ありとあらゆる手に呆れてみせる。具体的な言葉を今は思い出せないのが残念。今度はメモを取っておこう」と書いているが、この3年近く前の「新・対局日誌」で阿部隆七段(当時)の負けた時の感想戦の様子が見事に描かれている。

阿部隆八段の感想戦

故・池崎和記さんや鹿野圭生女流初段(当時)の記事でも、阿部隆八段の感想戦の時の雰囲気を知ることができる。

阿部隆八段と畠山鎮七段の本音トーク

微笑ましい兄弟弟子

—————-

とはいえ、阿部隆八段は2008年に「最近はおとなしい感想戦を心掛けています」と話している。

後藤元気さんの第33期棋王戦本戦▲森下卓九段-△阿部隆八段戦観戦記(お仕事ブログ)

この傾向が続いているのだとしたら、将棋界の名所が一つなくなったような気持ちになってしまうので、また復活をさせてほしいと個人的には思う。

—————-

中原誠十六世名人-桐山清澄九段戦も燻し銀の感想戦。

この二人は歳が同じで四段になったのも半年違い。