羽生善治四冠(当時)「得意な戦法はないです」

将棋世界2005年12月号、角建逸編集長(当時)の「将世三昧」より。

 東京・将棋会館では、10月から「女流棋士MONDAYレッスン」の開講を記念して羽生四冠のミニ講演が行われた。講演後の質疑応答の一部を紹介しよう。

Q.「将棋を指すのが嫌になったことはありますか?」

A.「嫌になったことはないですね。ただプロ棋士は相手の嫌がる手をやってきますから、楽しい気持ちにもならないんですが」

Q.「佐藤棋聖との違いは?」

A.「将棋のつくり方が違います。佐藤さんは積極的に駒が前に出ていく将棋です。読んでいる量はナンバーワンだと思います。自分はそこまで深く読まないです」

Q.「得意な戦法は何ですか?」

A.「得意な戦法はないです。そのとき面白いと思った戦法をやるっていう感じです」

Q.「升田将棋についてどう思いますか?」

A.「升田先生は昭和30年代に現代の感覚を持っていた人です。序盤のスピードが重要だと、一番最初に気づいた人だと思います」

Q.「強くなるコツを教えてください」

A.「ある程度実戦を指すこと。初段以上の人は、一局一局を大事に指すこと。棋譜をつけること」

Q.「羽生さんは(将棋で)失敗したことがありますか?」

A.「今まで一回も完璧だったことはありません。必ずどこかでミスをしています。ミスをしながらそれを修正する繰り返しです。ミスをすると、状況がより複雑になり動揺してまたミスをしがちです。お茶を飲んで気を落ち着けることが大切です」

Q.「小学生の頃の成績は?」

A.「真ん中くらいでした。算数だけ得意でしたけど。一点主義ということで(笑)」

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企業の採用面接で「何でもできます」と言うと、何もできない人と思われて落ちてしまうことが多いと言われるが、その逆で、何でもできる羽生善治四冠(当時)が「得意な戦法はないです」と言う迫力。

全部の戦法が得意だからそのような表現になる。

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「ミスをすると、状況がより複雑になり動揺してまたミスをしがちです。お茶を飲んで気を落ち着けることが大切です」

これは仕事や実生活にも通じる金言になると思う。

 

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