「B級1組=鬼の棲み家」が死語になっていた時代

将棋世界2004年7月号、「第63期順位戦B級1組」より。

 一時、B2からの昇級者が当然のように一期で通過していった。いわゆる「顔パス状態」で、鬼の棲み家という言葉が死語になっていたが、再びその名にふさわしい場となってきた。

 棋界の層が厚くなってきている現在、それが一番形となって表れているのがA級とこのB1である。

「B1史上最強」「全員が昇級候補であり全員が降級候補」などの声が聞こえる。

(以下略)

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「B級1組は鬼の棲み家」と昔から言われてきたわけだが、B級1組を1期で駆け抜けていった「顔パス状態」の棋士は次の通り。(タイトル・段位は当時)

1992年度 羽生善治竜王
1993年度 森下卓七段
1994年度 森内俊之七段
1995年度 佐藤康光七段
1996年度 井上慶太七段
1997年度 丸山忠久七段
1998年度 郷田真隆棋聖
1999年度 先崎学七段
2000年度 藤井猛竜王・三浦弘行七段
2001年度   -
2002年度 鈴木大介七段
2003年度   -

まさに、羽生世代旋風。

それにしても、羽生世代と呼ばれている棋士全員が揃ってB級1組1期抜けというのは驚異的だ。

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2004年度以降は急激に減って、B級1組1期抜けの棋士は次の通り。

2011年度 橋本崇載七段
2014年度 佐藤天彦七段
2015年度 稲葉陽七段

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この文章が書かれた2004年度のA級、B級1組は次の通り。

〔A級・名人〕
羽生善治名人
森内俊之竜王
佐藤康光棋聖
谷川浩司二冠
丸山忠久九段
三浦弘行八段
鈴木大介八段
藤井猛九段
久保利明八段
深浦康市朝日
高橋道雄九段

〔B級1組〕
島朗八段
青野照市九段
郷田真隆九段
北浜健介七段
森下卓九段
阿部隆七段
先崎学八段
中川大輔七段
井上慶太八段
田中寅彦九段
中村修八段
行方尚史七段
堀口一史座七段

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現在は更にこの傾向が強くなっており、A級2組という名称の方が良いのではないかと思うくらい、B級1組は鬼の棲み家になっている。