将棋マガジン1994年4月号、「週刊将棋」の広告の紙面写真より。
週刊将棋1994年1月26日号の一面。
昭和から平成へ 激動の10年10大ニュース
- 超新星羽生、初段から五冠王へ。
- 光と陰 谷川激流の10年
- 追い続けた夢 米長50歳名人
- 自然は偉大 中原2度の名人復位
- 名人は天皇 竜王は首相 超大型棋戦竜王戦誕生
- 戦国に咲いた花の五十五年組
- そこのけそこのけ子供が通る 10代が大暴れ
- ヨダン許さず 三段リーグ発足
- 男子タジタジ 女流大成長
- 三巨星墜つ 木村、升田、大山
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週刊将棋が創刊された1984年1月25日からの10年間の10大ニュース。
1位の「超新星羽生、初段から五冠王へ」。
これは、1984年から20年間の10大ニュースなら「超新星羽生、初段から七冠王へ」が、
35年間の10大ニュースなら「羽生、永世七冠に。国民栄誉賞を受賞」が、
それぞれ1位になると思う。
それほど、羽生善治九段の実績が偉大だ。
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2位の「光と陰 谷川激流の10年」。
谷川浩司九段は週刊将棋が創刊された時の名人だった。その後、無冠の時代もあったが四冠王を達成する。しかし、その頃から羽生世代の棋士の活躍が始まり、この記事の時点では王将の一冠を保持。
まさに激流のような10年間だった。
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3位の「追い続けた夢 米長50歳名人」。
この記事が書かれた1993年に米長邦雄名人の誕生となった。
米長名人の誕生を祝う会には多くのファンが集まった。
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4位の「自然は偉大 中原2度の名人復位」。
自然は自然流のこと。
木村義雄十四世名人と大山康晴十五世名人の名人復位は1回。2度の名人復位は新記録だった。
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5位の「名人は天皇 竜王は首相 超大型棋戦竜王戦誕生」。
竜王戦の誕生は非常に大きな出来事だった。
それにしても「名人は天皇 竜王は首相」は非常に大胆な表現だ。
「名人はランボー、竜王はターミネーター」なら無難だが、あまり意味が伝わらない恐れがある。シルベスター・スタローン路線で行けば「名人はロッキー、竜王はランボー」、東宝路線なら「名人はゴジラ、竜王はキングギドラ」もあるが、物議を醸しそうだ……
どちらにしても、「無双」を別の表現にするのはとても難しい。
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6位の「戦国に咲いた花の五十五年組」。
昭和55年に四段になった棋士にタイトルを獲得した棋士(高橋道雄九段、南芳一九段、中村修八段、塚田泰明八段、島朗七段。段位は当時)が揃っていた。
将棋世界や近代将棋の誌面が、中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖、谷川浩司九段、55年組の棋士で占められていた時代があった。
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7位の「そこのけそこのけ子供が通る 10代が大暴れ」。
チャイルドブランドと呼ばれた羽生世代の棋士の10代の頃の活躍、10代の屋敷伸之棋聖の誕生など、10代の棋士が将棋界を席巻しはじめたのが平成元年度から。
この頃の10代の棋士たちが20代、30代、40代になっても席巻をし続ける。
そのような意味では、長い歴史の中では、もっと上位に位置付けられる出来事だと思う。
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8位の「ヨダン許さず 三段リーグ発足」。
もっと昔は東西対決のような三段リーグの制度があったが、昔とは違った形で三段リーグが復活したということ。
三段リーグ開始直前に四段昇段したのが森内俊之九段。第1回三段リーグで昇級したのが先崎学九段と中川大輔八段だった。
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9位の「男子タジタジ 女流大成長」。
蛸島彰子女流六段をはじめとする女流棋士第1期生が土ならしをして、林葉直子さん、中井広恵女流六段、清水市代女流七段などが芽を出させた、女流棋士界。
この記事の後も、どんどん花開いている。
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10位の「三巨星墜つ 木村、升田、大山」。
巨星という言葉が似合う人は滅多にいない。この3人はまさしく巨星。
木村義雄十四世名人、升田幸三実力制第四代名人、大山康晴十五世名人、昭和12年から昭和47年までの年間の将棋界10大ニュースがあったとしたら、毎年1位にこの3人の名前の1人以上が登場していたはずだ。
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1984年から1993年までの自分の10年10大ニュースはどのようなものになるだろう、と考えてみた。
初めに思い浮かんだのが、1984年4月23日に菊池桃子さんを間近で見たことで、次に思い出したのが1993年に知人からプレゼントされた菊池桃子さんの写真集のことだった。
自分に10大ニュースを考える素養が全くないことを知ることとなった。