将棋ペンクラブ会報秋号(後編)-将棋ペンクラブ大賞受賞者のことば

将棋ペンクラブ会報秋号の将棋ペンクラブ大賞関連のページについて。

○第22回将棋ペンクラブ大賞選考会

今回の最終選考会の模様が13ページに渡って載っている。

私がテープ起こしを担当。

○受賞のことば(敬称略)

観戦記部門大賞

原田史郎「鳴り響く笛の音」

原田さんが受賞の連絡を受けた時に、思い浮かんだ中学生の頃の苦い思い出。

随筆のような味わいのある文章。

観戦記部門優秀賞

早水千紗「忘れがたい経験」

昨年のオランダでの忘れがたい経験と今回の受賞について。

最終候補に残った村田智穂女流初段をはじめ、よい文章を書く若手が増えており、今後も女流棋士の受賞が続くことを願う、とも述べられている。

観戦記部門優秀賞

湯川恵子「たくさんありがとう」

女流名人位戦の観戦記を書いてから28年、スポーツ紙という媒体での観戦記で心がけてきたことなどが書かれている。

写真の湯川さんの右肩に指だけが乗っており、ぱっと見ると心霊写真のようになっているが、これは二人で写った写真の左半分を載せたもの。

この写真だけで、右側にいた人が誰なのかわかった方は、相当な棋界通といえる。(唯一のヒントは写真右上に少しだけ写っている髪型)

文芸部門大賞

梅田望夫「現在進行形のプロジェクト」

写真は「シリコンバレーから将棋を観る」86ページ掲載の、第79期棋聖戦第一局の前日、羽生善治名人、梅田さん、佐藤康光九段の3人で写っているもの。

梅田さんの人生が大きく変わり始めるきっかけとなった象徴的な写真だ。

本書が梅田さんにとっての「生涯の一冊」であったこと、「シリコンバレーから将棋を観る」という営みは、まだ緒についたばかりの現在進行形のプロジェクトであることなど、が書かれている。

※タイミング良く、梅田さんのブログに全文が掲載されました→将棋ペンクラブ大賞受賞のことば「現在進行形のプロジェクト」

文芸部門文芸特別賞

井口智英子「お礼のことば」

井口昭夫さんの奥様による受賞のことば。

若いころは出張が多かったり、なかなか家にいることがありませんでしたが、子煩悩な人で、やさしい人でした、など井口さんの人柄が偲ばれる。

技術部門大賞

渡辺明「誰でも面白く」

「永世竜王への軌跡」は初めての自戦記集だったので力が入った作品であったこと、当初は「渡辺明実戦集(仮)」のようなもので複数冊を出す構想だったが、書き始めてみて「これは面白く読んでもらえる」という手応えを得ることができなかったので止めることにしたこと、戦術書ではなく「誰でも面白く読める」ものを書きたかったことなどが書かれている。

題材を溜めて、また自戦記を書いてみたいという気持ちにも触れられている。

技術部門優秀賞

阿久津主税「魅力ある中盤」

あるきっかけで”プロの常識はアマの非常識”ということを認識させられ、週刊将棋で「プロの常識教えます」の連載が始まったこと、書籍化の際には、これまでにない工夫を盛り込んだことなどが述べられている。

技術部門技術体系賞

森内俊之「受賞にあたって」

森内九段が奨励会の頃は、未知の局面での力こそが棋士にとっての最大武器であり序盤戦術が軽視されがちだったこと、現在では将棋を体系的に考えることなくしては棋士として活躍していけない時代になったことにはじまり、体系化の先駆者であった山田道美九段、島朗九段にも言及する。

Web中継企画賞

北海道新聞メディア局スタッフ『特別賞「Web中継企画賞」の栄誉を受けて』

私たちは将棋が好きだ。棋士が好きだ。将棋を愛している人たちが好きだ…。

第49期王位戦最終局で激戦の末、深浦王位が羽生名人を退けた後に北海道新聞中継ブログに書き込まれた言葉。

この思いを綴る受賞のことば。

写真は、中継ブログの思い出深い記事→【王位戦】余話・羽生名人、傷ついた鳥を助ける

功労賞

新井田基信代理・西村邦彦「特別功労賞を受賞して」

日本アマチュア将棋連盟理事長の西村さんによる受賞のことば。

アマ連から発行された「ニーダの定跡研究」、「新ニーダの定跡研究」から、著者あとがきが紹介されている。

新井田さんの写真ではなく、バトルロイヤル風間さん渾身の新井田さんの似顔絵が描かれている。