近代将棋1999年9月号、中倉彰子女流2級(当時)の女流棋士自戦記「読み上げ裏話」より。
さて、今回取り上げる棋譜は安食総子女流2級とのものです。彼女とは年齢が近いこともあり、時には長電話したり(内容はひみつ)、研究会をしたりと、とても仲良くしてもらっています。いつだったか、高円寺で待ち合わせをしていた時のことです。時間になっても現れず、どうしたのだろうと思っていると、携帯電話で、「今、高円寺を通り過ぎちゃったの」。うーん、私も人のことは言えないのですが、安食さんもなかなかやってくれます。
(中略)
初めて、安食さんに電話したときのことです。まだ二人とも育成会員の頃でした。私は勝手に彼女の名前は「さとこ」だと思っていて、「さとこさんをお願いします」と家族の方に言いました。すると「えーと、さとこは私ですけど…」。えっ? 確かに話し方、声の感じは安食さんに似ているが中倉と言って反応もないし、これは彼女ではないと思い、「あの、将棋のさとこさんをお願いします」。相手の方は困惑した様子。当然ですよね。「あっ、ふさこですか?」。あっ、そうだったのか。私が間違えていたのですね。「あっそうです。すみません…」ちょっと気まずく声も小さくなっていきました。
(以下略)
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中倉彰子女流初段も安食総子女流初段も、天然系の人気女流棋士。
中倉彰子女流初段は「あっこちゃん」と呼ばれている。もしかすると、会話の中に「あっ」が出てくる頻度が多いからなのが理由のひとつなのかもしれない。