イメージと読みの将棋観の創成期(1)

イメージと読みの将棋観」と「 イメージと読みの将棋観2 」は鈴木宏彦さんの名著であり、「イメージと読みの将棋観」は昨年の将棋ペンクラブ大賞技術部門大賞となっている。

また、将棋世界最新号では「新・イメージと読みの将棋観」の連載が開始されている。

「イメージと読みの将棋観」は、内容もさることながら企画自体も素晴らしい。

この「イメージと読みの将棋観」の発想は、1996年に芽が出ていた。

将棋マガジン1996年6月号、青島たつひこ(鈴木宏彦)さんの「佐藤康光&森内俊之の何でもアタック」より。

昨日の森内俊之の少年時代の得意戦法関連。

初形は次の図。

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森内「中飛車が好きな人なら面白い戦形。小学生の頃はこればっかりやっていました。▲5八飛△3四歩▲5六歩△8四歩▲5五歩△8五歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛▲5四歩△同歩▲2二角成△同銀▲7七角△8二飛▲5四飛となれば先手必勝。こんなハメ手が随所にあります」

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佐藤「これは一局。昔からよくある手です。」

現在のゴキゲン中飛車なら△8二飛のところ△8九飛成となるが、これなら奇襲成功。

十数年前の小学生大会。森内少年の▲5八飛に△5二飛と対抗した意地っ張りな少年がいる。少年の名前は「羽生善治」。今期名人戦で初手▲5八飛が出現する可能性については「まあ、ないでしょう」と森内八段。

ゴキゲン中飛車登場以前の話だ。