王座戦第1局は渡辺明竜王が勝って、2004年の王座戦第4局から続いていた羽生善治王座の王座戦での連勝は、19で止まる形となった。
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見ていて非常にドキドキする見応えのある将棋。
いつも思うのは、渡辺竜王の踏み込みの良さ。
次に桂に銀を只取りされ王手がかかる手 を放置しての71手目の▲2四歩、
次に詰めよ竜取りをかけられるにもかかわらず、103手目の▲1五歩、
など、まさに”騎虎の勢い”という言葉がピッタリする手だ。
”騎虎の勢い”の「騎虎」とは、虎に乗ること。走る虎に乗ってしまった者は、途中で降りれば虎に食われるから、行き着くところまで行くしかない。
そのような意味で、”騎虎の勢い”は、激しい勢いで最後までやろうとするたとえ。
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渡辺竜王は、今年2月の将棋ペンクラブ会報での対談で次のように語っている。
(序盤での長考について)
「対局の場合は限られた持ち時間で勝負するので、わからないところを考えていたら時間がなくなって終盤から後は指せなくなるんですね。普段の研究を前提にわからないところを悩むのは非常に有意義ですが、時間が限られている中、勝とうと思ったら、わからないところを考えても仕方がないんですね」
(考えて何かに繋げるという考え方について)
「僕は、対局は限られた時間の勝負だと思うので、そこから次に繋げようというつもりはありません。次に繋げる研究は家でやります」
渡辺竜王が、序盤や中盤の決まりきった局面で時間をかけないという背景はこのへんにある。
渡辺竜王の対局に見応えがある終盤が多く現れるのも、このような時間の使い方の妙によるものだと思う。