「残ったのは郷田さんだけになったか」

将棋世界2005年12月号、河口俊彦七段の「新・対局日誌」より。

 近頃控室で「お目出度う」の声をよく聞く。ちょっとした出産ブームなのである。屋敷九段、木村七段、中座五段、そしてこの日は、丸山九段に女の子が生まれた、と聞いた。

 そういえば、ここ二、三ヶ月丸山九段がすこし変わったような気がした。明るくなったように感じられるのである。あるときなどは、トイレで顔を合わせたら、「今日は」と声をかけられ面食ったこともあった。

 今日は気をよくして、郷田九段とのA級順位戦である。余談になるが、丸山九段が結婚すると聞くや「残ったのは郷田さんだけになったか」の声があった。

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丸山九段が結婚したのは2005年の4月。

A級在籍の大物独身としては三浦弘行八段もいるので、この時の「残ったのは郷田さんだけになったか」の声は、「羽生世代で残ったのは郷田さんだけになったか」というのが正確な意味なのだろう。

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羽生世代の結婚した年月を早い順で並べてみると、次のようになる。

羽生善治二冠 1996年3月

藤井猛九段 1996年3月

先崎学八段 1999年5月

森内俊之名人 2002年10月

佐藤康光九段 2004年8月

丸山忠久九段 2005年4月

こうやって見ると、「残ったのは郷田さんだけになったか」と、言いたくなるのはわかるような感じがする。

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しかし、このようなことに左右されて結婚をする郷田九段ではないと思う。

そういうところが、郷田九段の大きな魅力でもある。