女流棋士発足二十周年記念パーティーで歌った羽生善治四冠(当時)

将棋マガジン1994年6月号、故・小室明さんの女流棋士発足二十周年記念パーティー「飛躍を誓った女流棋士」より。

 3月26日(土)。桜のつぼみもふくらんで、お待ちかね「女流棋士発足二十周年記念パーティー」が、ホテルセンチュリーハイアット(東京・新宿)で開催された。

 三十一名の女流棋士が、趣向を凝らしたプログラムのもと、会場に詰めかけた約六百名の将棋ファンを温かくもてなし、会は大盛況であった。

(中略)

 大広間奥では奨励会員による指導対局コーナーも設置されたようだが、ここでステージに羽生善治四冠王が登場して拍手喝采。歌はワンズの「星のない空の下で」。これは絶対に聞き逃せないと思ったところが、イントロから音程ははずれ、たどたどしい歌いぶり。覚えたての棒銀がさばけず中断で立往生しているようなものか……。ところが次第に日本語がロックビートに乗り始め、声に張りも出てきた。「ロックは技巧じゃない。心意気なんだぜ!!」と絶叫するような迫力に会場が騒然となった。

(以下略)

将棋マガジン同じ号より。

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WANDSの「星のない空の下で」は1993年リリースの曲。

WANDSというグループの名前は聞いたことがあるが、どのような曲を出していたのかは知らなかった。

今回、初めて「星のない空の下で」を聴いてみたが、顰蹙を買うのを百も承知で言えば、原曲自体が音痴のような節の歌だ。

きちんと歌えても、歌えなくとも、下手に聞こえるのではないだろうか。

Youtube WANDS -星のない空の下で

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それにしても、よくこのような難しい曲を羽生善治四冠(当時)は選んだものだと思う。

それと同時に、この当時の女流棋士の会では、男性棋士が歌うコーナーが普通にあったのだと知り、良い意味でビックリしてしまう。

現代でも充分に喜ばれそうな企画だ。