将棋マガジン1990年9月号、神吉宏充五段の「何でも書きまっせ!!」より。
自分の対局が終わって棋士室に行ってみると、谷川王位、井上五段の顔があった。「お、もうええんかケイタ」 「へえ、2週間もかかりましたけど、もう大丈夫ですわ」
何の事かというと、井上は自分の家の風呂でひっくり返って、肋骨を傷めて安静にしていたのだ。その間、好きなテニスがでけへんとボヤいていたが、やっと立ち直った。
いや、テニスが好きなのか、テニスを教えてくれるコーチが好きなのか、その辺は定かではないが・・・。
ところで、不思議なことに彼の打ったボールはいつもコーチの近くに飛ぶ。以前もコーチの顔にボールを当てて「井上さん、コートの周りを走りなさい」と怒られた。「へえへえ」とケイタ。チンタラ走っていると「井上さん、ずっとそうしていなさい」。ちなみにいつも怒られるメンバーは、井上に南、この二人である。
(以下略)
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このシーンをテレビドラマにするならば、美人のテニスコーチは松嶋菜々子さんか米倉涼子さんが適役か。
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実は私は、中学時代にテニス部に入っていた。
テニスコートは、はす向かいにある東北大学科学計測研究所(当時)のテニスコートを借りる形だった。
ところがこのテニスコートの隣が火葬場。
早い話が、中学校の校門から徒歩30秒の所に火葬場があったわけで、旧式の火葬場から吐き出される煙は、教室の中まで入ってくることもあった。
テニスコートとなると、まさに火葬場に隣接しているので、煙の直撃を受けることもしばしば。
そういうわけで、私はテニスというと、第一に連想するのが「火葬場」という人生になってしまった。
井上慶太五段(当時)に「井上さん、ずっとそうしていなさい」と言う松嶋菜々子さんに似たテニスコーチ、そして、コートに降り注ぐ火葬場の煙、、、、というのが、神吉五段(当時)の文章を読んだ時に、私の頭の中に浮かんできた光景だ。