将棋マガジン1993年11月号、鹿野圭生女流初段の「タマの目」より。
谷川邸
仕事を終えて、塚田八段、林葉女流五段、タマの3人で谷川王将の後ろにくっついて行って家まで押しかける事に成功した。
谷川「野田さん(四段)も乱入してくるらしいですよ」
林葉「あ、それで谷川先生ソワソワしてるんだ。奥さんと野田さんが二人っきりになるとまずいと思ってるんでしょう」
谷川「はぁ―。予定より遅くなったからですよ」
タマ「はっはあ。奥さんに何時までには帰ってくるからね。とか言ってあったんですね?」
何をしてもいじめられる新婚の谷川先生である。
―谷川邸到着―
谷川夫人「いらっしゃいませ」
一同「お邪魔しまーす」
タマ「あ、やっぱり野田さん先に来てた」
夫人「ええ、お待ちかねですよ」
林葉「恵子ちゃんかわいい―」
谷川「はあ―」
塚田「うーん。やっぱり33畳のリビングは広いね」
タマ「あっ塚田先生初めて?」
塚田「そうなんだよ」
夫人「お待たせしました。食事の準備ができましたのでどうぞ」
林葉「すごーい。おいしそう。これ全部一人で作ったんですか」
夫人「ええ。でも、これも、これも簡単なんですよ」
林葉「すごーい。(とえらく感心している)ところで、同い年なんですよね」
夫人「そうみたいですね」
林葉「好きなタイプの俳優さんとかは?」
男性陣「おいおい、林葉」
夫人「ンーと。(谷川先生の顔を窺ってから)風間トオルみたいな人が好みなんです」
塚田「その人(谷川先生を指さして)似てる?」
女性陣「ウーム」
林葉「最近見た映画は?」
塚田「林葉ー。質問攻めにするんじゃないの」
と話は、一人おとなしい谷川先生を除いて、延々と続くのでありました。
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谷川九段と風間トオルさんは同じ年の生まれ。
幸か不幸か、風間トオルさんに似た棋士は古今見当たらない。
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当時の将棋マガジンでは、バトルロイヤル風間さんによる谷川九段の奥様の似顔絵も多く描かれている。
バトルロイヤル風間さんは、1994年の将棋マガジンで、
愚考するに、将棋界には財産が二つある。林葉さんと谷川さん奥様、じゃなくて、いやそれもそーですが、「名人」と「王手」じゃないかと。
と述べているほど。
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バトルロイヤル風間さんと風間トオルさんは”風間”つながりだが、バトルさんは本当に風間という苗字で、本名は風間雄吉。風間トオルさんの本名は須藤光春。
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一度だけ、ペンネームで原稿を書いたことがある。
ペンネームで書くことが依頼の条件だった。
何にしようかいろいろと考えたが、一番最初に浮かんできたのが『風間重吉』だった。
高倉健主演の映画「昭和残侠伝」シリーズになくてはならない池部良演じる『風間重吉』。
格好良くて男の中の男で泣かせる役。
(風間重吉の詳細→将棋寄席(1))
ところが、風間重吉はバトルさんの本名と一字違い。
それではバトルさんに申し訳が立たないだろうということで、自分の中で『風間重吉』は候補から外した。
そういう思い出がある。