林葉直子倉敷藤花(当時)が羽生善治五冠(当時)に質問する。
将棋マガジン1994年1月号、「林葉直子からの35の質問」より。
問1 タイトル戦、深夜の温泉に浸かって考えることは?(勝ったとき、負けたとき)
羽生 疲労をとるために湯に浸かって体を伸ばすくらいで、あまり考えることはありません。勝敗ににかかわらず、感想戦で結論の出ていないときは局面のことを考えることもあります。
問2 タイトル戦の対局場は、海沿いと山間部のどちらが好きか。
羽生 海。視界が開けているから、ちょっと目を休めることができます。山も将棋らしくていいですけど。
問3 「これはすごい」と思うほどに興奮した棋譜は過去にあるか?
羽生 大山先生の対局と、米長先生の対局のなかにあります。どちらもA級順位戦ですね。控え室でモニターテレビを見ていて、指し手に何か訴えるモノを感じました。あと名人戦の棋譜のなかにもあります。
問4 詰将棋は今までにどれくらい作ったか。
羽生 アマチュア時代にはふざけたのをよく作ってましたが、プロになってからは10ぐらい。今までに100もないでしょう。詰将棋を作るのは時間がかかるから、はっきり言って作る意欲がありません。
問5 将棋を研究するときに最も適したBGMは?
羽生 BGMはかけません。ない方がいいです。普段はクラシックを中心に音楽を聞くことは好きです。
問6 「何手ぐらい読めますか」というマスコミの質問には、何と答えているか?
羽生 難しい局面だと300手から400手と答えています。簡単な局面なら一手です(笑い)。
問7 谷川浩司王将に”光速の寄せ”を食らったときの気分は?
羽生 何度も食らっているので前触れはわかりますね(笑い)。あ、これは来るなと。意外に最近は、ショックがないです。
問8 亡くなった棋士で今、会ってみたいと思う人は誰?
羽生 そうですね阪田三吉かな。語り継がれるなかで大分、脚色されていますから。実際の人物に会ってみたいと思いますね。
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よくよく考えてみると、羽生善治二冠ほど全国の名湯に数多く行ったことがある人は、日本の中でも少ないのではないかと思う。
とはいえ、人間は温泉好きな人と興味があまりない人とに二分される。
羽生二冠はどちらなのか。
少なくとも、温泉に入った途端に「ヴーッ」と熱さに耐えるような気持ちよさそうな声をあげるタイプではなさそうなイメージがある。
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これは私の全くの偏見になるのかもしれないが、今のA級棋士を、温泉が好き(温泉に入った途端に「ヴーッ」と声をあげる)そうな棋士と温泉にこだわりがなさそうな棋士、にイメージ的に分類すると、次のようになる。
温泉好きに見える派
郷田真隆棋王、佐藤康光王将、屋敷伸之九段、高橋道雄九段、深浦康市九段、橋本崇載八段
温泉にあまりこだわりがなさそうに見える派
渡辺明竜王、森内俊之名人、羽生善治二冠、谷川浩司九段、三浦弘行八段、
あくまで私の妄想の世界の中での話だ。