激甘三人衆

近代将棋2000年2月号、故・池崎和記さんの「カズキの観戦日記」より。

(竜王戦第5局 藤井猛竜王-鈴木大介六段戦の終局後)

 第五局は午後五時四十分過ぎに決着して藤井竜王が勝った(防衛)。感想戦を聞いていたら、竜王が序盤で飛車先を交換したのは無理筋だったらしい。つまり初日の封じ手の辺りでは挑戦者がリードしていたのだが、二日目に疑問手が出て流れが変わったようだ。

 打ち上げのあと、鈴木さん、福崎八段(立会人)らと外へ出る。鈴木さんはつらかったはずだが、そんな素振りは少しも見せなかった。それどころか「僕はゲキアマ(激甘)です。K、N(いずれも関東の若手棋士)、そして鈴木(自分のこと)は”激甘三人衆”ですね」などと言って私たちを笑わせたりもした。その明るさが、かえって苦悩を物語っているようだった。

(以下略)

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2000年当時、鈴木大介六段とほぼ同年齢で、イニシャルがKといえば木村一基五段、Nといえば行方尚史六段か野月浩貴四段。

当時から激甘という印象はないが、とにもかくにも、このような面白い会話があったという話。