将棋世界2002年4月号、神崎健二七段の「本日も熱戦 関西将棋」より。
勝てばA級復帰という郷田棋聖の対局がモニターテレビ。相手はまだ少し危険な可能性もある南九段。
夜の棋士室。東京から送られてきたファックスの棋譜を眺めたり並べたり。
「さすが勝負将棋は強いなぁ」
中原永世十段が神谷七段に快勝した棋譜がすでに置かれてあったのを見て、異口同音の感想。
対局の検討だけでなく、本日は数人の棋士が話題の詰将棋を解いている。本誌3月号182ページ、初段~三段コースの第5問の詰将棋がなかなか解けない。実は筆者もC2の日に解いたが、かなり苦戦。その日、通りがかった上野も「それはなかなか難しいですよ~」。関東でも話題になっているのかな?
ウワサによると橋本四段が40分もかかったとか。かなりしっかりした作者の作品だとか。たぶん山崎が私が見た中では最も早く解いただろうと思う。
「これはとても初段コースなんてものじゃない」の感想。
淡路九段、藤原、長沼、平藤、山本四段らが盤に並べて悩んでいた。途中で「今日は順位戦が気になるから」といって解くのをやめた人、解けたと口走ってから勘違いだった人、1時間以上考えてようやく解けた人などいるが、本人の名誉のため誰がどうだったということはここには書かない。
本日対局中だった畠山成六段(勝)も感想戦を終えたあと降りてきて、皆が考えている姿を見て、
「自分もかなり時間がかかったのをほかの人が一瞬で解かれたりすると、自信なくしますよねぇ」
考えることは皆同じようで、ほかにもなかなか苦心したという棋士は多数。
23時24分、最後は快勝で郷田勝ち.A級へのふたつ目のイスも決まる。でも、感想戦はすぐに始まりそうにない。いきなり盤面は崩された。
「あれっ?」「感想なしかな?」
この将棋は御上段で対局中だったのだが、隣の部屋の下段では、高橋九段-井上戦が対局中。配慮したのだろうか?
感想戦は階下に引越して始まる。本日は和服での対局の郷田。この部屋の椅子席で和服で感想戦をおこなった棋士は初めてだったかも。
(中略)
対局を終えた石田九段がいつもの調子で「うーーん。4勝のままでも助かっているかな?待てよ、やっぱりまだ少し危ないかな?どうだろうか淡路君」と半分ひとり言のように話しかける。話題を振られたほうも答えようがないのだが・・・。こういう話を聞くと、順位戦も大詰めだなぁという季節感(?)も感じる。
(以下略)
—–
この期の順位戦B級1組で、、郷田真隆棋聖(当時)は9戦目まで8勝1敗と快調だったものの、10戦目、11戦目と連敗。
3月の最終戦は抜け番なので、この2月の対局が郷田棋聖にとっての順位戦最終局にあたる。
島朗八段(当時)が既にA級復帰を決めていたが、勝てば自力でA級復帰が決まる一局。
大阪遠征でありながらも和服で対局に臨んだ郷田棋聖の決意がうかがえる。
—–
将棋世界3月号の初段~三段コースの第5問の詰将棋は下図。
問題自体は初手を答えるというもの。正解率は30%だった。
13手詰め。
→正解