「短編詰将棋で持ち駒に銀がある場合、44%の確率で初手が銀打ち」という理論

将棋世界1981年2月号、読者のページ「声の団地」より。

 私の将棋は、競馬にたとえると逃馬タイプである。本で将棋を覚えたせいか、序盤の型には明るいが、終盤は滅法弱い。そこで寄せを強くするため、詰将棋に取り組んでいる。だが、詰将棋を確率的な視点から眺めたらどうか、ということを思いついた。

「金はトドメに使え」と言われる。これは、金とそれ以外の駒が持ち駒にあるときには、終手を金打ちにすれば正解となる確率が高いということであろう。ならば、この格言を統計的な数値で裏付けることができるのだろうか。また、これ以外に統計的、確率的な事実として、一定の事柄が言えないだろうか。―このように考えて、手元にある詰将棋集を調べてみた。因みに、私の手元にある詰将棋集は、全部で10冊、すべて作者は異なり、手数としては5手詰から11手詰の短編が殆どである。

 さて、結果は次の通りであった。

  1. 金を持ち駒に使うもの総数329局。初手金打ち92局(28%)。終手金打ち106局(32%)
  2. 銀を持ち駒に使うもの総数248局。初手銀打ち110局(44%)。終手銀打ち18局(7%)
  3. 桂を持ち駒に使うもの総数259局。初手桂打ち64局(25%)。終手桂打ち56局(22%)
  4. 香を持ち駒に使うもの総数51局。初手香打ち19局(37%)。終手香打ち4局(8%)

(尚この調査においては、置駒を取って終手に打つものは、除外した)

 こうしてみると、「金はトドメに使え」という格言は、32%の高率で確認することができた。しかし、それ以上に注目すべきは、持ち駒としての銀の使われ方である。実に44%が初手に使われているのだ。この事実から、短編詰将棋においては「銀は初手に使え」という新格言が成立する、と言って差し支えあるまい。銀が持ち駒にあるときには初手銀打ちとして読めば、4割方は正解に辿り着く筈である。

 これについて、是非とも読者諸兄の御意見を伺いたいものである。

(東京都小金井市 Iさん)

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私もこのような統計は嫌いな方ではないが、よくぞ調べたものだと思う。

そもそも、詰将棋をこのような切り口で分析しようという発想が凄い。

とても真似はできない。脱帽だ。

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終手歩打ちは打ち歩詰めになるので存在しないとしても、終手飛車打ち、終手角打ち、は一局もなかったということなのだろう。

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この統計値は、作者によっても変わってくるものなのだろうか。

それとも、作り続けているうちに、同じような数値に収束していくのだろうか。

まあ、分かったからといって実生活には何の役にも立つわけでもないが、だからこそ楽しめる部分があるとも言える。