谷川浩司王位(当時)「ただ、佐藤康光五段には次の機会に頑張ってほしい、というわけで今月は王位戦」

将棋世界1990年10月号、谷川浩司王位(当時)の第31期王位戦第3局〔谷川浩司王位-佐藤康光五段〕自戦記「一瞬の決着」より。

 屋敷五段が棋聖になった。

 18歳6ヵ月。羽生竜王の最年少タイトルの記録を9ヵ月更新した。

 十代に2つ目のタイトルが渡った事になるが、最近は私も少し考え方が変わってきて、事実を冷静に見つめられるようになってきた。

 将棋の世界というのは、20歳前後から、大山十五世を別格とすれば、50代まで、全盛期を続けられる分野だと思うのである。

 一時期の現象に慌ててはいけない。勝負というのはトータルで決めるべきものであろう。

 大切なのは、自分の姿勢を崩さない事。最終的には、一番努力している人間が勝つはずである。

 これは余談になるが、8月10日頃発売の週刊誌の殆どに、屋敷棋聖の記事が出ていた。

 何も湘南の海で水着姿で将棋を指さなくても良かった、とは思うが、羽生竜王にしても屋敷棋聖にしても、気軽にマスコミに登場してくれる後輩が居るのは、将棋界としても有難い。

 ただ、佐藤五段には次の機会に頑張ってほしい、というわけで今月は王位戦。

(以下略)

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佐藤康光九段にとっての初タイトル挑戦が、この期の王位戦。

谷川浩司王位(当時)は4勝3敗で防衛して、「佐藤康光五段には次の機会に頑張ってほしい」を実践し、マスコミに登場する頼もしい後輩が一人増えるのを阻止した。

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屋敷伸之棋聖(当時)の湘南での水着姿というのは、写真誌「FRIDAY」に載ったもの。

FRIDAYからの注文で、そのような場所で将棋を指しているショットになったものだと思われる。

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将棋ペンクラブに入った頃、幹事にSさんがいた。

Sさんはフリーのライターで、週刊現代とFRIDAYのアンカー。

それまでアンカーというと、アメリカのニュース番組のニュースキャスターしか頭に浮かばなかったが、週刊誌にもアンカーという立場があることをこの時に知った。

複数の直接取材者のデータなどをもとにアンカーマンが原稿を執筆するという仕組み。

Sさんとはよく飲んだ。

とにかくビールしか飲まない人だった。

それと、血圧が高いにもかかわらず、チーズに塩をかけて食べていた。

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チーズに塩は非常に特殊なケースだが、この食べ物にこれはかけなくてもいいのではないか、と、個人的に思うものがいくつかある。

蒲鉾に醤油

厚焼き玉子に醤油

フランクフルトにケチャップ

メンチカツにソース

ハムカツにソース

かき氷にアイスクリーム

お好み焼きに削り節

フライドポテトにケチャップ

それぞれに十分に味がついているのに、その上に味の濃いものをかけるのは指し過ぎではないか、というのが理由だ。

そういう意味で言うと、私は醤油やソースはあまり使わないということになるのだろう。

醤油を使うのは、刺身、目玉焼き、餃子、ソースを使うのはトンカツくらいのものだ。

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とはいうものの、私もラー油だけは人一倍多く使うほうで、例えばカニ玉などは、色がオレンジ色になるほどラー油をかけてしまう。

ラーメンにもかなりのラー油が投入される。ラー油が既にたくさん入っている担々麺にさえもラー油をつぎ足さなければ気が済まない。

餃子のタレは、ラー油5に対して醤油3と酢が2。

ただし、そば・うどん、カレーライス、洋食など、ラー油をかけてはいけないものは自分の中で律しているので、何でもかんでもラー油というわけではない。

でも、ラー油に関しては、私も異常な部類に入ってしまうのだろうな、とは思っている・・・