将棋世界1992年1月号、神吉宏充五段(当時)の「対局室25時 大阪」より。
最近勝率1位がちらついてきたのが井上六段。この日は児玉六段との対戦。
「この将棋、載せるからな」と言うと「へえ、載せてもらうのは嬉しいんですけど、あんまり変なこと書かんといて下さいね。この前、将棋道場のお客さんが、井上先生誘いたいんやけど、酒グセ悪いって書いてあったからやめときますわって言われまして。えらい損や」
児玉のカニカニ銀に井上の対策は?
1図以下の指し手
△4二玉▲8四銀△3二玉▲8三銀成△6五歩▲7八金△6四銀▲7七桂△2二玉▲8四成銀△3二金 (2図)
全く意に介さずというような態度で玉を囲う。これで勝ってしまうのだからいやあ強い!
こんな強い人は酒でも誘わにゃ。ねえ、ファンの皆さん。
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戦闘機が機銃掃射をしてきたけれど、それを好きにさせておいて、その間に地下50mの巨大核シェルターを作ったというイメージの井上流カニカニ銀対策。
玉形に差があるので、後手は強く戦うことができる。
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井上慶太六段(当時)はそのキャラクターとアイドル性から、神吉宏充五段(当時)が記事を書く際の格好のネタになることが多かった。
たしかに、面白いことばかり。
井上慶太八段(当時)の、涙が出てきそうになるエピソードは、故・池崎和記さんが書いている。