将棋世界2000年6月号、神吉宏充六段(当時)の「今月の眼 関西」より。
「ホンマに将棋を知らん人たちにも将棋をわかってもらいたくて、この講座を引き受けたんですわ」と話すのは井上慶太八段。4月からスタートしたNHKの将棋講座(毎週日曜10時)は、実にユニークな講座になっている。何と!歩回し将棋から紹介していて、井上の言葉通り超初心者でも興味のある人なら誰でも分かる番組で、アシスタントはタレントのせがわきりさん。ほのぼのした感じと笑顔が特徴的な人で、楽しい雰囲気をお茶の間に伝えてくれている。さあさあ、皆さん大いに宣伝して慶太の講座を見てちょーだい!
そうそう、あの「先崎・神吉の将棋パトロール」も今年はパワーアップしてお届けすることになりましてん。NHK杯戦が始まって今年で50年。その50回を記念して、パトロールも過去のNHK杯の好局、珍局を、二人の爆笑トークにプラスして映像付きで紹介してしまうんですな。例えばド必勝の将棋を大逆転で負けた某九段の投了は、一言も発せず駒台の駒をジャラっとさらえただけ。そして怒ったような表情・・・これは怖い。大悪手で負けた某八段は、照れくさかったのか投了するとき満面の笑顔。とこんな具合に、映像が加わると雰囲気が伝わって格段に面白さが増す。昨年までは年に数回しか見られなかったパトロールだが、今年は早く対局が終われば出来るだけ出すとのこと。お楽しみに!
ところでそのパトロールの収録中にとんでもないアクシデント(?)があった。リハーサルの時、先崎学八段と二人でふざけあっていたんですな。「たった今、林◯直子さんから中◯先生にファックスが来ました。コメンテーターの先崎さん、どうですか?」なんて言うとったんですわ。するとしばらくしてからディレクターが「あの、今この収録、外にもモニターがあって、一般の人も見ているそうなんですけど・・・」 「ええぇぇぇぇぇぇ!」先崎・神吉は口を揃えて叫んで、そして一言「それを早く言ってよ。ヒドイ!」
(以下略)
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「将棋パトロールは」、NHK杯戦が早く終了した時に放送された番組で、各棋戦での好局、絶妙手、大ポカなどが先崎・神吉コンビの絶妙なトークで紹介されていた。
その面白い番組が、過去のNHK杯戦でのインパクトのある映像を交えながらとなるのだから、面白さが倍増すると言っても良いだろう。
この2000年は、私は土日に遊びまわっていた年なので、パワーアップされた「将棋パトロール」を一度も見ることができなかったはずだ。
今考えるととても残念だ。
NHKオンデマンドに入れてほしいと思う。
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将棋番組の、特に解説者にとってのリハーサルは、ドラマや歌番組のリハーサルとは違って、非常に自由度が高い。
脚本のないことが大きな理由だが、そのリハーサルの時にふざけていたのをモノターを通してNHK放送センターの見学者に見られてしまった、というのが上記の神吉六段(当時)の文章。
NHK杯戦でも、解説の棋士がリハーサルの時に自虐的な冗談を言ったりして、スタッフに大受けするようなことがある。
リハーサル傑作選というコーナーがあったら、これはこれで視聴者にとても喜ばれると思う。
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(1995年正月の「将棋パトロール」)