佐藤康光五段(当時)のメガネ

将棋世界1991年8月号、佐藤康光五段(当時)の第10回早指し新鋭戦決勝〔佐藤康光五段-森下卓六段〕優勝自戦記「新鮮な気持ちで」より。

 対局前日、私は電車に乗っている最中にメガネのレンズが突然ポロリと落ちて割れてしまうというアクシデントに見舞われました。

 とりあえずスペアのメガネをかけていたのですが正直言って私好みのメガネではなく、このメガネでプラウン管に映ったらイヤだなーと思っていたのですが、運良く対局当日に修理が間に合い、ホッとして対局場に向かいました。

(以下略)

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佐藤康光九段とメガネの相性には微妙なものがあり、この6年後にはオーストラリアのゴールドコースト(第10期竜王戦第1局の立会だった)でメガネが海に流されている。

「同じ関係者とは思えませんね」

この時にオーストラリアで購入したメガネが、その2年後の第73期棋聖戦第1局の対局中にフレームのつけ根が折れてしまう。

佐藤康光王将のメガネ

 

海に流されてしまうのは不可抗力とも思えるが、電車の車内でメガネのレンズが落ちてしまうとか対局中にフレームが壊れてしまうのは、なかなかないことだ。

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メガネでは思い出したくない過去がある。

夜通し飲んで、早朝の中央線に乗って家に帰ろうとした時のこと。

途中で眠ってしまったようで、気がつくとかなり乗り越していた。

電車で乗り越して目が覚めるのは、ほとんどの場合、駅に停車した時。

目が覚めて「これはマズイ」と思い瞬時に電車を降りた私だったが、ホームを二、三歩歩いたところで不吉な気持ちに襲われた。

顔にメガネがないのである。

胸ポケットを探ってもない。

電車に乗るまではメガネをしていたはずなので、電車の中で眠っているうちにメガネが床に落ちてしまったのだろう。

私も、この時ばかりはかなり落ち込んだ。