将棋世界1994年3月号、弦巻勝さんの「ぼくのアルバムから」より。
米長邦雄名人宅の新年会に出席、と言っても3時すぎからの宴会の部だ。
午前中は若手の生きのいいところと50歳名人のぶつかり稽古。いま流行の研究会とは違う。僕は研究会やコンピュータによる研究はしょせんマラソンのスタート時に靴ひもの結び方を考えているようなものと思う。タイトル戦に出るような者は靴がぬげない。
研究しつくせぬ創造の世界がタイトル戦と思う。事実僕はタイトル戦を何百局か観てきたが、プロの人達が解らぬ局面がいつも出てくる。そこを通りぬけた者しか勝っていない。
宴会には佐藤康光新竜王のお母さん、郷田真隆JT杯優勝のお母さんも出席。なんだか僕も将棋会のPTAになったような気で明るい空気に飲まれてしまい、例のごとく朝ははずかしくて死にたくて、なかなかフトンから出られなかった。
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ヒゲのカメラマン弦巻勝さんの連載写真エッセイ。
1994年1月のことだから20年前の新年の写真となる。
誌面に掲載されている写真は大きな一枚だが、入りきれないので部分写真を3枚。
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右が藤井猛四段(当時)で左が中川大輔五段(当時)。
酒を飲まない藤井四段はオレンジジュース、中川五段は無色透明な飲み物、日本酒だろうか。
写真に写っている料理は鶏肉とカシューナッツの炒め物と思われる。
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奥が米長邦雄名人(当時)と奥様。
手前が深浦康市四段(当時)と勝又清和三段(当時)。
深浦四段が飲んでいるのはビール(サッポロビール)と予想したい。
勝又三段は左手に飲み物を持っているのだろう。
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佐藤康光竜王(当時)のお母様と郷田真隆五段(当時)のお母様。
どちらが佐藤竜王のお母様で、どちらが郷田五段のお母様なのかは、わからない。
奥は寿司のカウンター。寿司職人が握っているところがすごい。
カウンターに座っている三人が誰なのかを判別するのは難しいが、真ん中に座っているのは森内俊之六段(当時)のような感じがする。
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写真に写っていない棋士、奨励会員も多いので、当日は相当な人数が集まっていたと思われる。
佐藤竜王、郷田五段は写真に写っていない。お母様から遠く離れた所に座っていたに違いない。