伊藤真吾五段が今日の10:30から行われる第8回朝日杯将棋オープン戦準決勝で羽生善治名人と対戦する。
伊藤真吾五段は、朝日杯将棋オープン戦は2011年度から連続で本戦入りしており、昨年度は準々決勝まで進出して今期は本戦シード。本戦トーナメントで阿久津主税八段、三浦弘行九段を破って準決勝を迎えている。
羽生善治名人-伊藤真吾五段の勝者は、やはり10:30から行われる渡辺明二冠-豊島将之七段の勝者と、14:30から決勝戦で戦う。
今日は、伊藤真吾五段の奨励会時代の渾身の一手を。
将棋世界2003年2月号付録「八十一格の青春」より、伊藤真吾三段(当時)。
伊藤真吾三段
昭和57年1月4日、東京都生まれ
平成5年、6級で奨励会入会。桜井昇八段門下。
平成10年初段、13年三段。
尊敬する棋士は羽生善治竜王。
得意戦法は振り飛車。血液型O型。〔ヒント〕
狙いの攻防手
前期三段リーグ15回戦。ここまで7勝7敗で迎えた本局。三間飛車の出だしから難しい形勢が続き、飛車角をさばき合った局面。城間三段の△8九飛に対する受けの一手。
〔解答〕
▲2九飛(解答図)
この自陣飛車が、前から狙っていた力強い一手だ。
問題図で▲5七飛は△7六角成とされ、この後の指し手が難しく、後手から△6五桂を狙われてしまう。
また▲4八銀も、△5二歩と受けられ、▲7三馬は△2六桂があるので取れず、やはり将来△6五桂から△5六桂と4八の銀を目標に攻められてしまう。
▲2九飛と打つことで、局面が長引けば▲4四歩や▲2四歩が厳しい攻めとなる。
実戦は、以下△5二歩▲2七銀打△6五桂▲4四歩△9九飛成▲2四歩(参考図)と進み、狙いが実現した。
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▲2九飛~▲2七銀打が、まさに魂が込められた渾身の手順と感じさせられる。
最新鋭の戦闘機と精鋭の海兵隊を本土防衛のために配置したような力強さだ。
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伊藤真吾五段の振り飛車は、テンポが良く、私のような昭和の振り飛車党が見ていてとても楽しい気分になってくる振り飛車。
振り飛車側から手を作ることが多く、また、「今度、この手を試してみよう」と思える振り飛車らしい攻め手がいろいろと現れるのが何といっても嬉しいところ。
石田流や三間飛車が大好きな私からすると、昨年の朝日杯での対谷川浩司九段戦(伊藤五段の勝ち)などは興奮してしまうような一戦。
→2014年1月22日 第7回朝日杯将棋オープン戦本戦 谷川浩司九段-伊藤真吾五段(朝日杯将棋オープン中継サイト)
羽生名人を相手に、伊藤五段がどのような振り飛車の指し回しを見せてくれるか、非常に楽しみだ。
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ちなみに、将棋世界2012年2月号で、三浦弘行八段(当時)と伊藤真吾四段(当時)が対談をしていて、とても面白かった。
三浦弘行九段は、伊藤真吾五段を奨励会時代から高く評価している。