対局中の表情が強暴になる棋士とそうではない棋士

将棋世界1995年6月号、泉正樹六段(当時)の「公式棋戦の動き」より。

第14回早指し新鋭戦(テレビ東京)

 順位戦昇級組の中川-三浦戦も興味深い。両者。顔がデカイし、将棋を指すときは特に面構えが強暴になるからで、きっと、命がけの果たし合いになり、視聴者を画面の中に引きずり込むはずだ。

(中略)

勝ち抜き戦(日刊ゲンダイ)

  B1に昇級したものの、前竜王としては物足りない成績の佐藤(康)。対して2期目にC1昇級を果たし、最後の最後で勝率1位を奪い取った久保。共通点は知性的な風貌。それに従い、序盤から丹念に将棋を創造する求道心は玄人好み。

(以下略)

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ここで書かれている強暴は「強く荒々しいこと」であり、凶暴とは意味が異なる。

それにしても、中川大輔八段はこの頃、まだ髭を生やしてなく、現在の髪型ではなく、日焼けもしていなかった。

将棋世界1997年5月号に掲載されている次の写真を見るとよくわかる。

中川

今の中川大輔八段の外見的な雰囲気ならともかく、この写真のような時に強暴と言われるのだから、対局時にいかに闘志を燃やしていたかが窺い知れる。

ちなみに、現在の中川八段の代表的な写真のひとつが次の写真。

中川八段の主宰する登山研のメンバーである藤森哲也四段によるtweet。

強面でありながら、温かい中川八段が伝わってくる。

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1993年の将棋年鑑での「無人島に一年間住むとしたら、何と何を持って行くか(二つだけ)」という質問があった。その時の主な回答は次の通りだったが、

    • 中井広恵女流名人・女流王位→林葉直子と携帯電話
    • 林葉直子女流五段→好きな人とFAX
    • 郷田真隆王位→TVと本
    • 高橋道雄九段→タイムマシン、アルカディア号
    • 真部一男八段→紙と鉛筆
    • 森下卓七段→これは秘密
    • 滝誠一郎七段→恐くて答えられないが、普通の人と同じ事を考える
    • 三浦弘行四段→将棋盤、駒

中川大輔五段(当時)は「火(ライターかマッチ)とジャックナイフ」という極めて実戦的な回答。

体を動かすことが大好きというか、もう無人島に行く心構えができている。

この時に実戦的な回答をしたのはもう一人、大内延介九段で「刃物とゴムボート」。

実戦と夢想を兼ね備えたのが高田尚平四段(当時)で、「シーカヤック、ディーパックチョプラ”クォンタムヒーリング”」だった。