将棋世界1984年1月号、第14期新人王戦「中村、宮田を降し初優勝」より。
―新人王になった感想は。
中村 やはりうれしいです。それと、21歳の誕生日の前に新人王を取れたのでよかったと思っています。第3局のときには21歳になってしまっていますので(笑)。
―中村さんの将棋は受け将棋といわれているのですが。
中村 自分ではそんなことはないと思っているのですけどねぇ(笑)。僕は自分で言うのも変だけど、なるべく完璧を目指して将棋を指しているんです。それで、完全にうまくいくという見通しがつかないと攻めにいかないんですね。その前に相手が攻めて来ちゃう(笑)だからどうしても受けが多くなってしまうんですね。ただ、将棋は攻めなくてはいけないと思っています。攻めなければ相手の王様を詰ますことはできませんからね。
―将棋以外のことをお聞きしたいと思います。突然ですが結婚などは考えていますか。
中村 えー、急にそんなこと言われても。まあ、30歳くらいじゃないですか。
―どんなタイプの女性が好きですか。
中村 うーん、まあ、やさしい人ですね。意外と面喰いでもあるんですけど。(えー!という陰の声あり)
―歌手では。
中村 シーナ・イーストンが好きです。こんどコンサートへ行くのですが、今から楽しみにしています。
―趣味は。
中村 スポーツはやりたいんですけど、今はボーリングぐらいですね。あと音楽。自分で歌うカラオケは好きではないですけど、ポップスを聞くのは大好きです。
―収入はどのくらいありますか。
中村 秘密です。
―賞金は何に使いますか。
中村 まだ考えていません。とりあえず貯金します。
―最後にライバルをあげてください。
中村 やはり谷川さんや高橋さん。二人の活躍には刺激を受けました。それと同期に四段になった人たちです。
―ありがとうございました。これからの活躍を期待します。
中村 はい、頑張ります。
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21歳の誕生日の前に新人王を獲得できたことを喜ぶ中村修新人王(当時)。
19歳と20歳の違いなら気持ちがとても理解できるのだが、20歳と21歳の間にこだわりを持つところがユニークというか面白いところ。
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シーナ・イーストンは1980年に『モダン・ガール』でデビューしたスコットランド出身のアメリカの歌手で、『9 To 5 (モーニング・トレイン)』、『ユア・アイズ・オンリー』などの大ヒット曲がある。
1981年頃、エフエム東京を聴けば、必ずシーナ・イーストンの曲が流れていた印象があるほどだった。
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「どんなタイプの女性が好きですか」のすぐ後の「歌手では」の質問なので、中村修新人王が「歌手の中での好みのタイプの女性」を答えているのか「音楽的に好きな歌手」を答えているのか微妙なところだが、コンサートへ行くほどなので、シーナ・イーストンは両方の要素を兼ね備えていたのだと考えられる。
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中村修九段が佐藤康光九段の後を継いで棋士会長に就任した。
非常に大変な時期ではあるが、大いに応援したい気持ちだ。
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中村修九段は、企業で言うと経営企画部長風の外観と真面目で隙のない雰囲気。
しかし、話すことには不思議な面白さがあるし、エピソードもたくさんある。
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昨日は臨時棋士総会が行われ、3名の理事の解任が決まった。
今の歴史的な豪雨を伴う暗雲が、早く晴天に変わるようになってほしい。