大山康晴十五世名人「勝因敗因が分からない将棋を指して10日か20日後からスランプが始まることが多い」

将棋世界1980年11月号、「メモ帖より」より。

大山王将の秘密

 大山王将がテレビ朝日「徹子の部屋」に出演、黒柳徹子さんと対談した。その一部を次に。

「対局の時によく食べたのは、相手方に、私が常に健康だと見せるために食べたんですよ。会食しますね、大山よく食べるな、あいつは元気だ、あいつにはとっても長期戦ではかなわんなと、そう思わすためにもムリして食べた面がありますね」

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大山康晴十五世名人の食事での盤外戦術は有名だった。

基本的には、たくさん食べるのを見せて、相手をゲンナリさせるというもの。

大山十五世名人のステーキ

大山康晴十五世名人「明日の朝はうなぎがいいね」

しかし、「徹子の部屋」で晩年の大山十五世名人が明かしたのは、決して食べたいからやっていたわけではなく、短期的あるいは中・長期的な勝負の視点に立って、無理してやっていたということ。

勝負師魂の塊だ。

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将棋世界1982年9月号、「テレビを見て①」より。

 7月18日、TBSテレビの森繁対談を見たら大山王将がゲスト。

「勝因敗因が分からない将棋を指して10日か20日後からスランプが始まることが多い」「オレもトシだから……と思うのが一番よくない。年齢を忘れるのがスランプ克服法」「晩年の阪田三吉名人の公式対局の半分以上は私が記録係をしました」

 など、珍談や教えられることの多い内容だった。

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この対談番組は、毎日放送制作でTBS系日曜日の14:00~14:30に放映されていた「森繁対談・日曜日のお客様」。

森繁久彌さんがホストで、各界の著名人たちにインタビューする形式の番組だったという。

Wikipediaによると、放送は半年間の25回で、大山十五世名人は第15回での登場。

「勝因敗因が分からない将棋を指して10日か20日後からスランプが始まることが多い」は、非常に含蓄に富む。

「勝因敗因が分からない」ということがスランプの入り口の印なのか、あるいは、因果関係ははっきりとしないがそのようなジンクス的な法則性があるのか、どちらにしても、「勝因敗因が分からない」ということが勝負面において不吉なことが起きる前兆であることは間違いないのだろう。

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大山十五世名人が語る本音や初めて語られる秘中の秘の自己分析。

黒柳徹子さんも森繁久彌さんも、さすが、人から話を引き出す名人だ。