郷田真隆九段「裸になって気持ち良くね(笑)」

将棋世界2005年7月号、第63期名人戦〔森内俊之名人-羽生善治四冠〕シリーズ前半を振り返る「面白くなる予感」より。佐藤康光棋聖と郷田真隆九段の特別座談会。

―3期連続の羽生-森内の名人戦七番勝負。一昨年の名人戦以来、いくつものタイトル戦で熾烈な闘いを演じてきた経緯があり、このシリーズはさまざまな意味で注目を集めています。

一時は羽生さんから立て続けにタイトルを奪って、三冠を保持する快進撃を見せた森内名人ですが、昨年12月に渡辺明さんに竜王位を、そして今年2月には羽生さんに王将位を奪還されました。シリーズ開幕前の予想では、森内名人不利の声が多い印象がありましたが、第3局を終わった時点では、森内名人の2勝1敗というスコアです。ここまでの流れをどうご覧になっていますか。

佐藤 森内名人が、竜王・王将と立て続けに失ったのは、疲れもあったと思います。三冠になって立場も変わりましたし、一年間続けてタイトル戦に出るという経験がこれまでなかったわけですから。でも、2月に王将戦が終わったあと名人戦までかなり間があったので、ゆっくり自分の将棋を見つめ直すことができたのではないでしょうか。森内さんは調子を取り戻したという感じを私は持っています。

郷田 裸になって気持ちよくね(笑)。このシリーズの森内さんは、第1局から第3局まで、戦うごとにだんだん良くなってきている印象があります。

―第1局は森内名人が黒星スタートでした。先月号で詳細に紹介しましたが、内容的には森内名人も負けてはいませんでしたね。

郷田 非常に接戦でしたね。終盤はどちらが勝ってもおかしくないという感じでした。

―印象に残っている局面とか興味深いところがあったら教えてください。

郷田 難しい将棋でした。中盤は森内さんのほうが形勢がよかったと思いましたが、なぜ途中で△5五馬と引かなかったのかが気になりました。時間がなかったせいもあるでしょうけど。

佐藤 この間、先崎八段と話したんですけど、終盤で△8四歩(1図)と指した手がありましたが、私は見ていてそれが一番驚きましたね。あの忙しい最中によく突いたなと(笑)。形勢が悪いとそういう頑張りはなかなかできないものですが、なんとなく森内さんらしい手だなと思いました。負けはしましたが、第2局で勝ったことで、第1局の将棋が生きたという感じがしました。

―それでは、森内名人が巻き返しを見せた第2局、第3局を、順を追ってお二人に振り返っていただきましょう。

(つづく)

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佐藤康光棋聖(当時)と郷田真隆九段による、森内俊之名人-羽生善治四冠の名人戦前半を振り返る非常に豪華な企画。

登場人物的には1982年12月奨励会入会の羽生世代棋士が全員揃った形だ。

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郷田真隆九段の「裸になって気持ち良くね(笑)」が唐突な感じがするが、気持は良くわかる。

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1図以下、▲6三銀△同金▲同歩成△8二飛▲5三と△8五銀と進む。

1図の△8四歩は、△8五銀と抵抗するための一手。

たしかに執念がこもっている感じがする。

 

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