将棋世界2005年12月号、高橋呉郎さんの「感想戦後の感想 深浦康市八段」より。
さらに平成8年には、深浦は王位戦の挑戦権を獲得する。相手は、その年の2月、七冠制覇を達成した羽生だった。奇しくも同じ時期に、三浦は前年につづいて、棋聖戦で羽生に挑戦していた。
(中略)
王位戦は1勝4敗で敗退した。その間に、三浦は棋聖位を奪取して、七冠の一角を崩す大金星を上げた。
(中略)
その秋、「将棋の日」のイベントが千駄ヶ谷の東京体育館で催され、羽生も三浦も深浦も参加した。三浦は深浦と顔を合わせたとき、なにげなく「羽生さんはオーラを発していますね」といった。深浦は「きみは、その人を負かしたんじゃないか」といってやろうかと思ったという。
(以下略)
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三浦弘行九段が奨励会時代に尊敬していた棋士は大山康晴十五世名人と羽生善治竜王。
また、三浦九段の奨励会時代、三段リーグで勝てなかった時に、自分が羽生だったら簡単に抜けれるのではないかと考え、羽生将棋を研究し真似したら勝てるようになった、と紹介されている。
さらには三浦九段の四段時代の1994年、
「応募の葉書を出さなかったんですけど、羽生名人の就位式に行っていいのですか?」
と将棋連盟の職員に聞いたという事例もある。
そのような経緯もあるので、1996年に三浦棋聖(当時)が「羽生さんはオーラを発していますね」と言うのは非常に自然なことだったと考えられる。
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三浦九段と深浦九段→深浦康市四段(当時)「三浦君とは仲がいいので、じゃあ研修室が空いてるからあそこで待とうという感じで」