将棋世界1989年11月号、萩山徹さんの編集後記より。
「これを飲むと将棋が強くなるよ」
ある日のこと、編集部に現れた中原誠棋聖がニコニコしながら、机の上に置いたのがなんと”はぶ茶”。
早速、24日の職団戦でその効果を確かめてみましたが、私には全く効き目がなかったようで……。誰でもすぐ効くという訳にはいかなかったようです。
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この時代、ペットボトル入りや缶入りのハブ茶があったのだろうか。
実際の効能は別としても、飲めば、将棋が強くなったような気分になれることは間違いないし、逆に、将棋大会などで相手が飲んでいたとしたら、相当なプレッシャーとして降り掛かってくることだろう。
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ハブ茶は、「ハブソウ」(マメ科の植物。江戸時代に毒虫や毒蛇、とくにハブに咬まれたときに葉の汁を薬として使っていた)の種子を炒ったもの。
ただ、現在では、より栽培しやすく収量も多い同じマメ科のエビスグサの種子(ケツメイシ)が使われることが多いという。
音楽グループ「ケツメイシ」のグループ名は、このエビスグサの種子が由来となっている。
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調べてみると、現在はハブ茶は、ペットボトル入りや缶入りのものはなさそうで、ケツメイシの状態で販売されている。ケツメイシは漢方の生薬の一つとなっている。
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ハブ茶が原材料として含まれている飲料は、他にもあるのかもしれないが、すぐに調べることができたのは、日本コカ・コーラの「爽健美茶」とアサヒ飲料の「十六茶」。
爽健美茶は、ハトムギ、玄米、発芽玄米、大麦、ドクダミ、はぶ茶、チコリー、月見草、ナンバンキビ、大麦若葉、明日葉、杜仲葉、ヨモギが原材料。
十六茶は、ハトムギ、大麦、ハブ茶、発芽大麦、玄米、とうもろこし、びわの葉、カワラケツメイ、たんぽぽの根、あわ、きび、小豆、エゴマの葉、ごぼう、ナツメ、ミカンの皮が原材料。
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話のタネにということだろうが、ハブ茶を買おうと思った中原誠十六世名人もすごい。