将棋マガジン1996年3月号、「第54期順位戦」より、「今まで一番恐かった事」からのトピックス。
羽生善治六冠 土砂降りの時の高速道路での運転
米長邦雄九段 彼女に切り取られそうになった時
谷川浩司王将 1月17日
森内俊之八段 サリン事件
佐藤康光七段 小倉君の車に同乗した時
藤井猛六段 思い出すだけでも恐いので書けない
丸山忠久六段 恐い夢を見たこと
郷田真隆六段 怪我をしたときです
屋敷伸之六段 飲酒時の記憶喪失病
深浦康市五段 初めて上京したときの地震
窪田義行四段 盤上のスリルに勝る物はまだなし
先崎学六段 豪州の国内線で地面スレスレまで急降下した時
小倉久史五段 高速道路での運転
杉本昌隆五段 金縛りにあった事
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羽生善治六冠の「土砂降りの時の高速道路での運転」。これは自身で運転していた時のことだろう。
佐藤康光前竜王が運転する車で日光から東京へ戻って来た時の話ではないので、その時を上回る、相当に怖い思いをしたのだと思う。
→佐藤康光前竜王の車に羽生善治六冠と森内俊之七段が同乗した日
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米長邦雄九段の「彼女に切り取られそうになった時」。本当にそこまで緊迫したことがあったのかどうかはわからないが、とにかく阿部定事件系のこと。
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谷川浩司王将の「1月17日」。1995年1月17日の阪神淡路大震災。
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森内俊之八段の「サリン事件」。1995年3月20日の地下鉄サリン事件。
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佐藤康光七段の「小倉君の車に同乗した時」。やはり、自身が運転して日光から東京へ戻ってきた時を上回る出来事。小倉久史五段もこの時のことを挙げているようだ。
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藤井猛六段の「思い出すだけでも恐いので書けない」。子供の頃に何かトラウマになるようなことがあったのだろうか。子供の頃のトラウマというと、個人的には映画『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』だ。人を食べるガイラが超怖い。
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丸山忠久六段の「恐い夢を見たこと」。今まで一番恐かった事に夢を挙げるということは、筆舌に尽くしがたいほど怖い夢だったのかもしれない。あるいは、普通に怖い夢で、実生活ではあまり恐いことがなかったとも考えることもできる。
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郷田真隆六段の「怪我をしたときです」。これは郷田九段が小学6年生の時の複雑骨折と思われる。
→ごく普通にごく普通の話をするけれど、それでいてどこか秘密めいた部分がありそうな雰囲気の郷田真隆四段(当時)
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屋敷伸之六段の「飲酒時の記憶喪失病」。
酒を飲んで記憶をなくしている時は、眠っているか、または意外と礼儀正しくなっているケースが多い。
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深浦康市五段の「初めて上京したときの地震」。深浦九段が上京したのは12歳の時(1984年)。下見のような形でもう少し前に上京した時のことかもしれない。この前後に関東地方で震度5以上の地震は起こっていないけれども、やはり単身・未知の地での地震は子供心にもインパクトが大きかったのだろう。
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窪田義行四段の「盤上のスリルに勝る物はまだなし」。窪田七段らしい回答。
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先崎学六段の「豪州の国内線で地面スレスレまで急降下した時」。これは恐い。
1990年代初頭、森雞二九段の研究会でオーストラリア旅行へ行っており、もしこの時にあったことだとすると、一緒に行った他の棋士がこのことを挙げていないというのも不思議な感じがする。先崎九段だけが恐く感じたことなのか、他の棋士は別のことでこれ以上に恐い経験をしているのか、どちらかはわからない。
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杉本昌隆五段の「金縛りにあった事」。自宅で金縛りも怖いが、初めて泊まった旅館やホテルでの金縛りも別の意味も加味されて怖い。金縛りは医学的に説明ができると言われているけれども、次のような事例もある。(金縛りが出てくるのは終盤)