近代将棋1996年11月号、米長邦雄九段の「米長さわやか流対談、この一局」より。聞き手は福本和生さん。
米長 今月は第37期の王位戦を振り返ってみたいと思います。それも第4局の羽生王位の摩訶不思議ともいうべき一手だけを中心にしてね。
福本 第4局の時点では羽生王位の2勝1敗でした。
米長 棋聖戦の三浦弘行、王位戦の深浦康市と羽生王位は後輩を相手にしてのタイトル戦で、これは私も経験がありますが何となくいやなものなんです。
福本 追われるという感じですね。この王位戦第4局は、三浦新棋聖が誕生した直後の対局で、七冠の一角が削られ羽生王位としては正念場の一局でした。
(中略)
米長 ところで王位戦第4局、技術面だけを解説させてもらいます。
先手番の羽生王位がタテ歩取り戦法に出て、昨今の将棋は先手の勝利がいい、あるいは先手が有利だと言われていますので、作戦勝ちして圧倒しよう、というのが羽生王位の目論見であったでしょう。しかし深浦五段の研究の深さがそれを上回っていて、深浦五段のほうが作戦勝ちとなった。
そして中盤戦となって羽生王位が局面を打開していきましたが、深浦五段が的確に応接をして戦いを有利に進めていたのだが、羽生マジックが出て、こういっては語弊がありますが深浦五段はそれにひっかかって羽生王位が勝利をもぎ取った。
この一局、立会人の大内延介九段は「逆転のしようのない将棋」と解説されていたそうだが、しかし逆転した。
本日は逆転させようとした羽生王位の一着と、なぜ逆転に至ったかという深浦五段の応接と、その二手だけを解説させてもらいます。
(中略)
米長 さて本局、1図はすでに2日目に入って指し手もかなり進んでいます。くしくも将棋盤と同じ81手目、先手番の羽生王位が▲2六桂(1図)と打った局面。そろそろ終盤に入ろうかという局面ですが、残り時間は羽生王位が36分、深浦五段が53分です。
この▲2六桂の前に羽生王位は▲6一飛と打ち込み、これに対して深浦五段が△8二角をじっと△7三角とあがった2手がありますが、この△7三角が専門家をうならせた。この手が渋い受けの好手なのか、それとも大緩手なのか、いまもってわからない。深浦五段は△7三角が緩手ではなかったかと話しているが、このような落ち着いた手が指せるということは大事なことで、私は△7三角は好手だったと思っています。
ここで羽生王位は▲2六桂です。摩訶不思議な桂打ち。控えの桂に力あり、これは将棋の金言の一つですが、まことに不思議な桂打ちとしか言いようがありません。
この▲2六桂を打たずに、おっちょこちょいの私などは▲1五香△1四歩▲1三歩(参考A図)が浮かぶ。
参考A図の局面は放置すれば▲1四香と走り事件となる。△1五歩と香を取れば▲1四桂の王手から▲2一飛成と桂を取ってこれも事件である。
しかし参考A図では冷静に△1三同香と香を取られ以下▲2五桂に△1八飛(参考B図)、このB図を見ていただくと▲1四香と走っても△同飛成があり、また当然△4六桂などのきびしい攻めもあり深浦五段の優勢となる。
しかし、羽生王位としては1筋から手をつける以外に勝機はない。そこにじっと▲2六桂と打った手が何回も言うように摩訶不思議な一着。
福本 ▲2六桂は例えば「死中の活」といったこと…。
米長 そうではなくて、そうですね、この手を見たとき私は羽生-佐藤戦の竜王戦を思い出しました。第6期竜王戦の第1局で先手の羽生竜王がじっと▲8七歩と打った局面(参考C図)。
このあたり羽生竜王のやや不利とみられる局面だが、そこで▲8七歩と打ち、佐藤七段(当時)の△3三金に▲8六歩△5四歩に▲8五歩です。
この▲8七歩はどういう意味があるのか―。8筋に歩を打つのならだれが考えても▲8五歩でしょう。それをあえて▲8七歩として佐藤七段に手を渡し、手得をした佐藤七段がその間に自ら傷を作った、それを狙った一着なのである。
摩訶不思議な感覚で、本局の▲2六桂はそれに似ている手といえる。
いつか福本さんが六代目菊五郎のことばで「間は魔に通じる」という話をされましたね。あれがヒントになっているのではないか…。
福本 あきらかな手得、その間が佐藤七段の心理に微妙に影響して魔境に踏み込んでいった。
米長 将棋は一手を争うゲームですから、一手の価値は非常に大きい。それはよくわかっているのですが、手得がそのまま有利につながるかというと、これがそうならないことがある。間は魔に通じるというのは言い得て妙といえます。
これが羽生王位の▲2六桂です。これは不思議な手なんです。どういう意味があるかというと、今度は▲1五香と走りますよ、△1四歩なら▲同香と取る手がある。そこで△1三歩は▲同香成で△同玉は▲2一飛成で桂を取られる、△1三同香は▲1四歩でいつでも▲1四桂と跳ねることもできる。
たとえはあまりよくないですが、明日、泥棒に入りますよ、といった手が▲2六桂なんです。早く入ればいいのに、明日入るという予告をするところが玄妙ともいえますね。
深浦五段も泥棒に入りますよ、といわれては黙っているわけにはいかない。
まず考えられるのは△3一桂と受ける手です。こう手厚く受けておけば万全であろう。しかし、将棋でも人生でも万全とか安全ということは、ありえないことなんですね。
△3一桂には▲4二歩(参考D図)と垂らす手がある。
これは△4二同金の一手ですが▲1五香△同香▲1四桂△3二玉▲2二歩で、なかなか万全の受けとはいかない。
これを実生活におきかえてみましょう。羽生王位が明日泥棒に入りますからね、たとえは悪いがこう宣言したわけです。深浦五段は宝石を持っている。私が明日その宝石を取りに行きますよ。
深浦五段は対策を考えた。まず金庫を買ってくるか、しかし羽生王位のことだから金庫も合鍵か針金でこじ開けるだろう。番号を複雑にしても「羽生の頭脳」だから通用しないだろう。金庫はだめだ。
それでは戸締まりをしっかりして警備員を配置しておくか―。それも羽生王位のことだから屋根から忍び込んでくるだろう。(爆笑)
明日は宝石を取りに行きますよ、と予告されて懸命にそれを防ごうとするのだが、守りにはどっかに隙が生じる。
深浦五段はどうしたか。結構でしょう、あなたがわが家に侵入するのはご自由にしてください。しかし、あなたが留守の間に私もお宅に入らせてもらいましょう。
これが次の一着の△8九飛で、攻め合いに出たわけです。そのとたんにこの将棋は逆転しました。
したがって▲2六桂と打った一手パス、宝石を取りにいくからと宣言して、相手の応手をうかがう。手を渡された深浦五段があらゆる防御策を考えてもきりがない。結局、受けには万全の受けなしと決断をして攻め合いを選んだ。
この△8九飛をみた羽生王位は▲1五香と走って優勢を確保した。
福本 摩訶不思議な一手パスの▲2六桂は、深浦五段の気持ちを揺らす好手だったのですね。
米長 しかし、将棋というゲームは一度優勢になったほうが100点の手を指していれば必ず勝つことになっている。人生では一度不利になっても立ち直りはきくし、一打逆転というケースはいくらもあります。将棋は一度有利になれば失着をしないかぎり絶対に勝つことになっている。
その局面は並み居るプロ棋士が、また両対局者が「深浦の優勢」の判定をくだしているので、この優劣に間違いがあるとは思えない。
▲2六桂は羽生王位が勝負の間合いを計った摩訶不思議な一着ではあるが、だからといって深浦五段が不利になるということはない。
△8九飛が敗着です。
深浦五段はあらゆる受け手を考えたが、どの受け手もうまくいかない。ところが、深浦五段は第一感で浮かんだ手があった。じつは、それが正着であった。やっぱりプロの第一感には間違いなかった。
福本 ほうっ、その第一感とはどんな手でしたか。
米長 それは△3三桂(2図)と跳ねる手です。
福本 ▲6一飛があり、深浦陣は裾あきで気持ちはよくないですね。
米長 福本さんもこの手はおかしいと思いますか。そうなんです。通常は△3三桂は大悪手なんです。
しかし▲2六桂という手がですね、これは私の研究会のお師匠さんである森下卓八段におうかがいしたことですが、▲2六桂が常識外の手で応接するのが正しい。それは△3三桂なんです。さきほど福本さんが裾あきで気持ちが悪いと指摘されましたが、いうなれば宝石を両手でかかえて、玄関と勝手口を開け放って、自分は2階に陣取るという作戦です。
宝石泥棒の侵入予告に、どうぞ入ってくださいというのが△3三桂です。
当然、羽生王位は▲1五香と入ってきますが、2階から見ていますから玄関から入れば勝手口に、勝手口から侵入すれば玄関へとするりと逃げてしまう。宝石泥棒は入ったものの空っぽで、交通費も出ないていたらくになってしまう。(笑い)
この△3三桂には強い意思がこめられています。これはどういう手かというと、羽生王位にはもうひとつの狙いがあった。▲2六桂のあと▲2五銀と出る、本譜もそれが実現しましたが、そのあと▲3四桂△同銀▲同銀、あるいは単に▲3四銀とすりこむ、すなわち▲3六銀を使おうという狙い。△3三桂はこの▲3六銀の進路を止めているんですね。
2図の△3三桂をみると、▲3六銀の動きを封じている。しかも放置すれば△2四桂と銀取りに打って攻めるという強い意思が込められている。
羽生王位とすれば2図となれば▲1五香と侵入するしかない。このあとどうなるか。△同香▲1四桂△1二玉の3図となる。そこで攻めを継続するには2通りの手がある。▲2二歩と▲1三歩。▲2二歩ならば△1九飛▲2一歩成△1八香成で十分。一見、危ないようだが、どうということはない。
では▲1三歩ならどうか。△1三同玉▲1一飛成△1二飛▲2一竜、この後△1一歩でもよし△1一香でもよし、また△2四香でもよし△2四桂でもよし、この4つのどれかで優勢を確立することができた。
ここでいずれの場合でも深浦五段は飛車を持っていなくてはならなかった。飛車を攻防に利かす必要があった。
福本 わかりました。▲2六桂の真の狙いは深浦五段の飛車を手放させることなんですね。
米長 その通りです。△8九飛は厳しい手ですが、逆に考えると受けの飛車を手放したことになる。△8九飛と打たせて、このあとすれすれの勝負ですが、羽生王位は肉を斬らせて骨を断つの勝負手が▲2六桂。
深浦五段とすれば飛車を手放さないで、守らないで、相手に攻めてもらう手を考えなければならなかった。
玄関と勝手口を開放する△3三桂という発想が浮かべば、本局は深浦五段が勝っていたでしょう。しかし、深浦五段は局後に述懐していましたが、△3三桂は第一感でした、と。
福本 深浦五段は強いですね。
米長 しかし、常識的に考えて△3三桂はいままで好手になったことがない。一瞬は思いついたが、この手は悪手になるに相違ない、それが将棋の常識だと考え直して読みを打ち切ったという。
(以下略)
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「今月は第37期の王位戦を振り返ってみたいと思います」
この期の王位戦、第1局で深浦康市五段(当時)は、皆がビックリするような戦型で戦っている。
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「この手を見たとき私は羽生-佐藤戦の竜王戦を思い出しました。第6期竜王戦の第1局で先手の羽生竜王がじっと▲8七歩と打った局面」
この3年前、1993年の竜王戦第1局で出現した羽生マジック。
非常に不思議で味わい深い順だった。
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「たとえはあまりよくないですが、明日、泥棒に入りますよ、といった手が▲2六桂なんです。早く入ればいいのに、明日入るという予告をするところが玄妙ともいえますね」
「深浦五段は対策を考えた。まず金庫を買ってくるか、しかし羽生王位のことだから金庫も合鍵か針金でこじ開けるだろう。番号を複雑にしても「羽生の頭脳」だから通用しないだろう。金庫はだめだ」
「深浦五段はどうしたか。結構でしょう、あなたがわが家に侵入するのはご自由にしてください。しかし、あなたが留守の間に私もお宅に入らせてもらいましょう」
この辺の表現は米長邦雄九段の面目躍如。
このような解説はとてもわかりやすい。
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「それは△3三桂なんです。さきほど福本さんが裾あきで気持ちが悪いと指摘されましたが、いうなれば宝石を両手でかかえて、玄関と勝手口を開け放って、自分は2階に陣取るという作戦です」
この表現も絶妙だ。
ところが…
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近代将棋1996年12月号、米長邦雄九段の「米長さわやか流対談、この一局」より。聞き手は福本和生さん。
米長 今日はこの対談を応援してくださるファンの方に、私からお詫びと訂正があります。
福本 (けげんな表情で)どうしたのですか?
米長 先月号で王位戦の羽生王位と深浦五段戦の解説をしましたね。
福本 第4局の「摩訶不思議な一局」、羽生さんの▲2六桂をめぐる名解説でした。
米長 その▲2六桂(1図)に深浦五段が△3三桂なら、深浦優勢と私は解説しました。
宝石泥棒が忍び込みますよ、との予告。そうですか、そんならこっちは宝石を持って2階にいますから、玄関からでも勝手口からでも自由にお入りください、というのが△3三桂であると話しました。
福本 (うなずく)
米長 この私の解説の根幹をなすものは何かというと、この局面は深浦有利という大局観に基づいてのものでした。将棋というものは、有利なほうが最善手を指し続けさえすれば必ず勝つものです。ところがこの大局観には重大な誤りがありました。その後の検討の結果、▲2六桂の局面ではすでに羽生王位が優勢でした。
福本 深浦有利の大局観は間違っていたのですか。
米長 この対局を私は現地で観戦したわけではなく、後日、新聞報道で棋譜を調べたのですが、対局場には大勢のプロ棋士がいて、そして両対局者の感想があって、問題の局面では深浦有利となっていました。対局者二人もそのような感想を述べたということでした。当然私はそれを信じた。
ところが「△3三桂と跳ねても深浦有利にはならない」という一通の手紙が私の許に届いた。いわば抗議の手紙です。この手紙の主が私より(将棋の)強い男です。私は驚いてこの局面を再度検討しました。もちろん自分一人の頭ではどうすることもできない。それほど難しい局面です。その結果、驚くべきことが判明しました。
福本 深浦有利説の△3三桂の変化は先月号で詳細な解説がありました。再検討の内容をお聞きしたい。
米長 先月号で私は▲2六桂と打った手が、明日あなたの家に忍び込みますよ、それに対して△3三桂は、どうぞお入りください、しかし家の中はからっぽですよ、という解説をしました。
ところが、すぐ忍び込まずにもう一晩待つという手があったのです。
福本 (ほうっと驚く)
米長 私はこのことに気がつかなかった。もう一晩待つと、2階に上がっている深浦さん、あなたはどうしますか。一晩中起きていますか、それはいつかは眠くなるでしょう。ぐっすり眠ったときに宝石をいただきましょう。
明日忍び込むと予告はしても、明日入らなくてもかまわない。
福本 その一晩待つというのはどんな手ですか。
米長 それは▲1四歩(2図)の垂らしです。これが△3三桂という手に対する最善の応接なのです。
これは放置すれば▲1五香と走って端が危ないということは、誰の目にも明らかです。
そこで先月申し上げた通り、△2四桂▲2七銀引△2五桂▲1五香△1二歩(3図)で、残念ながら羽生側からの攻撃の続行手段なし、しかも深浦玉は△3三玉と逃げる余地ができて金銀4枚が密集している。いざとなれば△8九飛の痛打があって、これは深浦優勢であると私は思っていた。
ところが鍵をこじあけるという手がありました。
3図以下、▲1三歩成△同歩▲同香成△同香▲1四歩△同香▲同桂△3三玉▲6四香(4図)。
▲1三歩成から強引に香を捨てて▲1四歩という手がありました。こうなると4図までは一本道ですが、▲6四香を△同金と払うと▲同角△同角▲同飛成(5図)。3図から5図まではほとんど一本道。
後手は金を渡すのはいいが角を渡すのがつらい。この角は▲1一角や▲5一角の王手がある。
現実問題として5図の▲6四同飛成のあと次に▲6二竜と入れば▲2二角で将棋は終わりです。
そこで5図の▲6四同飛成には、深浦側に△1二飛という妙防がある。この△1二飛は先手の2つの角打ちを消して、さらに△1四歩で桂を取るという手。これに対して▲1五歩などと桂を守っていると、△8六角の竜金両取りがある。こうなれば深浦勝ちでしょう。
しかし△1二飛に対しては▲1五金という好手がある。▲1四桂を守りながら次に▲2五金と桂を払う。
こうなるとせっかく打った飛車(△1二飛)が蟄居閉門となり、▲2五金の形は羽生玉が広くなって後手は勝てません。
したがって▲6四香と打たれた局面では、どうやっても深浦五段に勝ち筋はありません。
ただしこれは▲1四歩に対して手抜きをした場合のことを申し上げたので、ここで△3一桂とがっちり受ける応手も考えられる。これならば安全なのか。
ところが▲1四歩に△3一桂は▲6三飛成△同銀▲5三角成(6図)という強襲がある。
その前に▲1五香と走って△1二歩の利かしを指しておいて、それからこの強襲かもしれない。
これでどうやっても深浦玉は寄ってしまうのです。というのは△4三銀が動くと▲3四桂と跳ねた王手がきびしい。しかも深浦玉は3筋からは逃げられず、端は詰まっていて、ことごとく深浦側には不幸にできている。
しかも▲3四桂△2一玉のとき▲2二歩が打てるようになっている。これが普通の美濃囲いとタテ歩取りの決定的な差です。
あれやこれやと検討した結果、▲2六桂と打った局面では羽生優勢とここで私が結論を出します。
したがって近代将棋誌11月号の私の解説は誤りであったことを、ここできちんと申し上げておきます。改めて将棋の奥深さを教えられましたが、読者の方には深くお詫びします。
(以下略)
* * * * *
米長永世棋聖でさえ間違えてしまうような難解な将棋だったということになる。
やはり将棋は奥が深い。
* * * * *
「この対局を私は現地で観戦したわけではなく、後日、新聞報道で棋譜を調べたのですが、対局場には大勢のプロ棋士がいて、そして両対局者の感想があって、問題の局面では深浦有利となっていました。対局者二人もそのような感想を述べたということでした。当然私はそれを信じた」
AIで1図の局面を解析してみると、
▲2六桂と打った局面は先手から見て、「水匠2」が-1103、「技巧2」が-998、と、先手不利という数値が出てきた。
大勢の棋士もAIも、先手不利という認識で一致している。米長九段も最初の直感と形勢判断は正しかった。
* * * * *
△8九飛と打った局面では、「水匠2」が-863、「技巧2」が-597。
AIから見ると最善手ではないものの、後手有利は動いていない。
(AIの推奨手は△6六飛。その後の手順を見ても、私の棋力では意味がわからない)
ちなみに△3三桂は、「水匠2」-110、「技巧2」-342。
検討したパソコンのCPUが強力ではなく、コンピュータに検討させた時間も短かったので、評価値が実態に近いかどうかは何とも言えない。
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逆に考えると、羽生善治六冠(当時)の▲2六桂は、かなり不利な局面からの挽回を実現させた強力な羽生マジックだった、ということになる。