将棋世界1997年3月号、小林宏六段(当時)の「東西奨励会成績」より。
やや古い話になるが、去年の12月26日に神宮外苑にて将棋連盟マラソン大会が行われた。距離は約5.5kmで、参加者39名中25名が奨励会員である。他は棋士や職員で、10代から20代前半と若く、かつ人数の多い奨励会員が圧倒的に有利かと思われたのだが……。
ところが優勝したのは2分遅れでスタートした職員の大野木さんで39歳。5.5kmでの2分ハンデというのは大駒落ちに等しい。2着には何とか木村三段が入ったが、皆信じられない位に遅すぎる。でも楽しい一日だった。
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木村一基九段の趣味はランニング。
この頃から、その萌芽が出始めていたということになる。
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「皆信じられない位に遅すぎる」
アスリートの小林宏六段(当時)。
たしかに、この時代になっても、小林宏六段が出場していれば1位になっていたかもしれない。
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樋口薫さんの『受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基』 には、
- 奨励会時代のマラソン大会で入賞し、四字熟語辞典をもらった。
- めくっているうちに一番いいなと思ったのが「百折不撓」だった。
と書かれており、この時のマラソン大会2位の賞品が四字熟語辞典だったのだと考えられる。
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二段から三段になるまで 2年半、そこからさらに三段リーグを抜けるのに 6 年半かかった木村一基三段(当時)。
このマラソン大会での入賞の3ヵ月後に大学卒業、そして四段昇段。
春に向けて、良いことが集中するような流れとなった。