名人戦第4局対局場「金剛峯寺」

名人戦第4局の対局場は高野山真言宗総本山金剛峯寺

金剛峯寺は真言宗の宗祖である弘法大師空海が宗教活動の拠点とした寺であり、建造物の一部などが重要文化財になっているほか、国宝も多く所蔵されている。

私は、真言宗の総本山イコール金剛峯寺と思っていたのだが、調べてみると、現在の真言宗は、古義真言宗系が13本山、新義真言宗系が3本山、真言律宗2本山の、真言宗十八本山となっている。

そういう意味では、金剛峯寺は、古義真言宗系である高野山真言宗の総本山という位置付けになる。

ちなみに、厄除けで有名な成田山新勝寺、川崎大師平間寺は新義真言宗系である真言宗智山派の大本山。

実は、私の実家が檀家になっているお寺も真言宗智山派だが、この記事を書くまでは、総本山が金剛峯寺だとばかり思っていた。真言宗智山派の総本山は、京都の智積院。ブログをやると、いろいろと勉強になることが多い。

さて、名人戦第4局。

対局は金剛峯寺 奥殿で行われる。非公開の場所。

「高野山の決戦」として有名な、1948年の名人戦挑戦者決定三番勝負、升田幸三八段-大山康晴七段戦は

2月26日 金剛峰寺 大山七段の勝ち

2月29日 普門院 升田八段の勝ち

3月3日 普門院 大山七段の勝ち

第1局が金剛峰寺のどの建物で行われたかの記録を探すことはできなかったが、「錯覚いけない、よく見るよろし」で有名な第3局は、別格本山の普門院新造の間で行われている。

この時の名人挑戦者は、A級1位の棋士ではなく、A級1、2、3位とB級1位の4名により、下からの勝ち抜きで決定する方式だった。

B級1位の大山七段は、A級3位の花田長太郎八段に病気不戦勝、A級2位の大野源一八段にも勝って、A級1位の升田八段との挑戦者決定三番勝負となった。

第3局は壮絶な熱戦。先手が升田八段、後手が大山七段。

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第2局で角換わり腰掛銀で敗れた大山は、角換わりを避け、乱戦模様に。

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升田一歩得のまま、局面は落ち着き、雁木対二枚銀の対抗形。

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お互いに角を打ち合い、息詰まる中盤戦。

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ここが問題の局面。升田は持ち駒の桂馬を盤上でカラ叩きしていたが、桂馬を駒台に戻して▲4六玉と上がった。▲5七桂なら詰まずに升田の勝ちだった。

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△6四角▲5五桂△4七金。

升田「錯覚いけない、よく見るよろし」と叫ぶ。

投了図以下、先手玉は龍に追いまわされ続けて詰んでしまう。