佐藤大五郎九段の自慢の一局。
(将棋世界1999年7月号、「棋士それぞれの地平」に棋譜が掲載されている)
1969年B級1組順位戦、佐藤大五郎七段(先)-中原誠七段戦。
佐藤大五郎七段の四間飛車に対して、中原誠七段は△6四銀から△7五歩の急戦。
ここから▲7八飛△7六歩▲同銀△7二飛▲6五歩△7七角成▲同飛△5五銀。
ここからの佐藤大五郎七段の駒が、強情なまでに前進する。
▲7五銀△9九角▲7六飛△8八角成▲7四銀△8七馬▲7五飛。
敵陣にじわじわと迫る迫力。
その数手後が第4図。
次に△7五馬と引かれると銀を只取りされてしまう。先手の攻めが難しそうに見えるが、佐藤大五郎七段はここから見事に捌いてしまう。
▲8二歩△9三桂▲8一歩成△同飛▲9四角成△7五馬▲7三銀成△同銀▲7二馬。
局面が一気にほぐれた。
そして終盤の入り口。この局面で佐藤大五郎七段の絶妙手が出る。
次の一手のような▲9三馬!
これが詰めよ馬取り。
以下、△5三馬▲2三銀不成△同玉。
ここからも次の一手のような決め手が炸裂する。
▲7五馬。
△同馬だと詰んでしまう。
以下、△2四銀▲5三馬△同金▲4二角△3二飛▲5三角成△5八と▲4一銀△2二飛▲3五桂まで、111手で佐藤大五郎七段の勝ち。
時の中原誠七段を相手に、”薪割り流”が見事に決まった一局だった。