丸山忠久九段の納豆巻きの秘密

将棋棋士の食事とおやつのデータによると、丸山忠久九段の対局時の食事は、ヒレカツ定食、麻婆豆腐定食、にぎり寿司(さび抜き) +納豆巻が注文メニューの定番ローテーションとなっている。

今日は、丸山九段が、「なぜ、にぎり寿司を頼む時に納豆巻も必ず注文しているか」の理由に迫ってみたい。

NHK将棋講座1996年8月号、丸山忠久五段の自戦記(丸山忠久五段―酒井順吉六段戦)より。

珍しい丸山忠久九段の自戦記。

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5月16日に、久しぶりに行われた一門会に出席しました。

一昨年の3月に、師匠である佐瀬勇次名誉九段が他界。時期的に見て、三回忌の会かと思っていました。

会に出席したメンバーは、佐瀬夫人、米長邦雄九段をはじめ、西村一義八段、田丸昇八段、沼春雄六段ほか若手棋士、女流棋士、奨励会員、女流育成会ほか、合わせて21名。

まず佐瀬春雄六段(沼六段)の挨拶があり、

「三回忌という意味の会ではありません。堅苦しいものではなく、夫人を囲みながら、故人を偲んで一杯やろうというものですから、気楽に大いに語ってください」と。

すると、あちらこちらで懐かしい話が聞こえてきました。一杯?いっぱい?入ったこともあってか、聞いたことのない話も次々と出てきます。

(中略)

「あと、先生の納豆好き。納豆を食べれば将棋が粘り強くなるから、とよく勧められた」

「確か納豆嫌いな人が多かったわよ」

と、こう言いながら、クスッと笑みを浮かべる夫人。

その表情に年輪を感じるとでもいうのでしょうか、一時期を一緒に過ごしたものでなければわからない何かを感じました。こうした会話のやりとりを見ていて、何かジーンと胸にこみ上げてくるものが……。

2時間という時間が、あっという間に過ぎました。2次会に行くメンバーなど、思い思いに別れましたが、私はしばらくの間、師匠と話でもしているような気分が離れませんでした。

(中略)

NHK杯戦のあとは、必ずといっていいほど行きつけの店に足を運ぶ。そこで定食を食べるのが定跡となっている。

焼き魚もいいな、どれにしようかな、なんて。

よし、決めた。

「おばちゃん、いつもの定食に納豆付けてね」

いつもこんな調子だ。

風呂に納豆。このふたつは、一生好きでいられそうである。

そういえば、師匠もこの2つがとても好きだった。やっぱり、師弟なんだなぁと思う。

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「おばちゃん、いつもの定食に納豆付けてね」

この言葉、丸山九段のイメージに合致しないような、するような。

こんなに微妙な問題はないというくらい、非常に微妙なところだ。