一昨日の大和証券杯ネット女流最強戦決勝戦は、中井広恵女流六段が里見香奈女流三冠に勝って、大和証券杯ネット女流最強戦三連覇を果した。
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女流棋戦19連勝の新記録を持つ中井広恵女流六段は、里見香奈女流三冠の女流棋戦17連勝を拒んだ形となった。
昨年の中井広恵女流六段の20連勝目を断ったのが里見香奈女流三冠だったが、今回は、その逆を行く展開。
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中井広恵女流六段は、現在の女流棋士の中で唯一の内弟子経験者(佐瀬勇次名誉九段門下)。
過去の近代将棋の記事などによると、お父様はプロ入りには賛成してくれたが、東京に出ることについては大反対だった。
半年後、許可はしたものの、幼い娘を東京に送り出す時、「嫁に出すのと同じ」と思い、お父様は大いに泣いた。
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当時奨励会では中井広恵6級が唯一の女性。
周りの男性奨励会員の間では、「女性に負けたら、坊主になる」という取り決めまでできていて、たまに中井6級が勝つと本当に坊主になったり、口もきいてくれなかったり。
食事をするのも何をするのもいつも1人で、対局以外での苦労もあったという。
そのような鍛えがあったからこそ、中井広恵女流六段は20年以上トップクラスを張り続けていることができるのだと思う。
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決勝戦で里見香奈女流三冠がとった作戦は、オーソドックス三間飛車から角を5九方面に引いての石田流。
私のような昭和の振飛車ファンが感涙する戦形だ。
里見女流三冠の振飛車は、大山康晴十五世名人の振飛車にやや似ている感じがする。
昭和の雰囲気漂う振飛車と豪腕の終盤、非常に魅力的な将棋だ。