将棋関連書籍Amazon売上TOP10(5月21日)

はじめに、今月の新刊から。

羽生の三手詰 (SUN MAGAZINE MOOK)羽生の三手詰 (SUN MAGAZINE MOOK)
価格:¥ 800(税込)
発売日:2011-05-16

終盤の鬼手 (将棋連盟文庫)終盤の鬼手 (将棋連盟文庫)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2011-05-14

老いと勝負と信仰と (ワニブックスPLUS新書)老いと勝負と信仰と (ワニブックスPLUS新書)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2011-04-15

出だし4手で知る石橋幸緒の将棋レシピ―知ると、もっと楽しい将棋・序盤の指し方
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2011-05
NHK 将棋講座 2011年 06月号 [雑誌]NHK 将棋講座 2011年 06月号 [雑誌]
価格:¥ 530(税込)
発売日:2011-05-16

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Amazonでの将棋関連書籍売上TOP10。

大局観  自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
価格:¥ 760(税込)
発売日:2011-02-10
決断力 (角川oneテーマ21)決断力 (角川oneテーマ21)
価格:¥ 720(税込)
発売日:2005-07
将棋序盤の指し方入門 羽生善治のみるみる強くなる将棋序盤の指し方入門 羽生善治のみるみる強くなる
価格:¥ 998(税込)
発売日:2009-12-01
ハチワンダイバー 19 (ヤングジャンプコミックス)ハチワンダイバー 19 (ヤングジャンプコミックス)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2011-03-19
やさしいこども将棋入門―どんどん強くなるやさしいこども将棋入門―どんどん強くなる
価格:¥ 924(税込)
発売日:1993-01-02
どうぶつしょうぎのほんどうぶつしょうぎのほん
価格:¥ 800(税込)
発売日:2010-07-13
将棋世界 2011年 06月号 [雑誌]将棋世界 2011年 06月号 [雑誌]
価格:¥ 750(税込)
発売日:2011-05-02
真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)
価格:¥ 600(税込)
発売日:1997-04
ダークゾーンダークゾーン
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2011-02-11
久保の石田流久保の石田流
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2011-03-24

山崎隆之七段のデビュー戦

山崎隆之七段らしい山崎四段時代のデビュー戦。

将棋世界1998年7月号、神吉宏充六段(当時)の「今月の眼(関西)」より。

 五月十二日、火曜日。午前10時を過ぎたというのに、私は美味しそうに立ち食いソバを喰っていた。

「そろそろやな…」この日は山崎隆之新四段の初対局の日である。対戦相手はこのカンキ。天才と噂される新人の腕試しのお鉢が回ってきたんだから、久しぶりに楽しみな対局ではあった。が、先日仲間に「二人の対局、どちらも来んかったりして」と言われてビックリ。私は遅刻の常習犯だが、山崎四段も奨励会時代、遅刻して不戦敗になった経歴があるという。

「何、山崎君ってそんな大物かいな! ほんなら当日も5分ぐらい遅刻しよるかもしれんのう…よっしゃ、わかったでぇ」で私はいつもより多目の10分遅れて対局室に登場したのだった。

山崎君は下座にちょこんと座って待っていた。「よし!」武蔵の心境じゃないけど、とりあえず遅刻では勝った! と思ったが記録用紙を見ると彼が遅刻した様子がない。私の方だけ「神吉六段遅刻10×3=30分」と記されてある。「あれ?山崎君、今日は遅刻とちゃうかったん」と聞くと「あ、ハイ。ギリギリ間に合いました」である。う~ん、勝ったような負けたような…ようわからんわい。

振り駒で私が先手。得意の四間飛車穴熊にはせず三間に飛車を振って美濃囲いに構え、「穴熊見せるのはまだ早いわい」と言うと山崎君はクスクス笑う。初対局やというのに余裕があるのう。

その山崎、対局が始まってしばらくこちらを見ている。おお、ハブ睨みに対抗してヤマ睨みかいなと思ったが、よくよく注意して見ると、私のネクタイを注視しているようである。局後この事を尋ねると実に面白い一言が返ってきた。「あ、あれは一点に集中する訓練をしていたんです。ネクタイの模様をずっと見ることによって集中力を高めようと…。普段なかなか集中出来ませんから」

(中略)

以下、新人の落ち着いた指し回しに完敗してしまった。ううむ残念! それにしても山崎君はフワッとしているというか落ち着いているというか…。とても10代の若者に思えない雰囲気がある。大スターになってくれるだろうか。

(以下略)

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ネクタイの模様をずっと見ることが集中力を高める訓練として有効なのかどうかはわからないが、寺に篭って座禅などをするよりは時間的には手軽である。

また、相手が男性といえども、普通の時に相手のネクタイを凝視していたら”変な青年”と思われるが、対局中なら、そこまでは思われない。

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羽生七冠当時、15歳の頃の山崎少年が、1996年の西広島新聞に取り上げられている。

羽生7冠王を倒す男(1)あわや史上4人目の中学生棋士

羽生7冠王を倒す男・佐伯区の山崎隆之さん15歳(2)

羽生を倒す男(3)母と先生よりのはなむけ

羽生7冠王を倒す男(4)アマ4段と一局さしてもらいました

 

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山崎七段は、NHK将棋講座で「山崎隆之のちょいワル逆転術」を担当している。

バトルロイヤル風間さんの似顔絵に、羽生名人を、底知れぬ闇を持つ昭和のカリスマホスト風に描いた羽生善治④『色悪』があるが、山崎七段バージョンの「色悪」も見てみたい感じがする。

棋士として女性として輝き続けたい

棋士として、女性として、輝き続ける。

近代将棋2004年10月号巻頭グラビア、『中井広恵女流王将・倉敷籐花の著書「鏡花水月」出版記念パーティ』より。

文章は中野隆義さん。

 小学6年生の春、11歳の中井は師匠の佐瀬勇次九段の内弟子となった。

 中井の上京にあたって、故郷の稚内で開かれた壮行会の席上で、生まれて初めて父の泣く姿を見た中井は、子ども心に一人で東京に出て行くというのは、やはり大変なことなのだな、と感じ、おめおめとは引き下がれないのだなと思った。

 父は、あのとき、広恵は将棋に嫁に出したのだ、と思っていた。だから、中井の妹二人の結婚式ではおいおい泣いたが、中井が植山悦行六段と結ばれたときには笑顔ばかりであった。

 みずも、こころ、みなみ、と三人の娘に恵まれた。タイトル戦で数日間家を離れなければならないときは、母乳を冷蔵庫で凍らせ、それを父君が解凍して娘に飲ませた。父君の母が上京して一緒に住むようになったのは大助かりだった。一人だけではなく、家族みんなでやってきて現在があり、これからがあると思っている。

 最近、色紙に好んで揮毫するようになった「鏡花水月」とは、「鏡に映った花も、水に映った月も、目には見えるけれど手に取れない」という意味だ。心で感じる「素敵」にこれからも出会いたいと思っている。

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ジーンとくる文章だ。

中井広恵女流六段の「鏡花水月」は、2005年に将棋ペンクラブ大賞を受賞している。

出版社が、「中井広恵」という女流棋士をプロデュースした形の著書。

鏡花水月―女流棋士中井広恵/その戦いの日々と生活の詩鏡花水月―女流棋士中井広恵/その戦いの日々と生活の詩
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2004-08

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「鏡花水月」という言葉について、中井広恵女流六段が語っている。

将棋ペンクラブ会報2005年春号、中井広恵女流王将-高田宏将棋ペンクラブ会長の対談より。

高田 中井さんの「鏡花水月」という本読ませて頂いたんですが非常に面白かった。 最近は扇子とか色紙をお書きになる時は鏡花水月が多いんですって?

中井 そうですね、3年くらい前から書いています。

高田 あの本は、まず第一にタイトルが鏡花水月というので、やっ、いい題だなあと思って。ところが僕はお恥ずかしいことに鏡花水月という言葉を全然知らなかったんです。えっ、こんな言葉あるのかと思って漢和辞典を三冊引いてみたんです。鏡に写っている花と水に写っている月、それは実物ではないけれども非常に奥行きの深い美しさを持っている。しかしそれは手に取って触ることができない。非常に美しい言葉で、鏡の花、水の月、それは実物ではないけれども実物よりある意味では更に美しい。詩歌を評する時にも用いられるとも書いてました。非常に奥行きの深い美しさを持ったものに「鏡花水月の趣あり」と言うわけですね。鏡花水月の前は何と書かれていたんですか。

中井 今でもたまに書くんですが「志は千里にある」と書いていました。将棋に関係する言葉は勝負にこだわるものが多くて、ちょっと女性向きじゃないかなという気がしていたんです。何か勝負事にも通ずるし、女性らしい柔らかな言葉がないかなと思っていた時に、たまたまある本で「鏡花水月」という言葉が目につきました。調べてみると、手に取れないぶん心の中で感じ取るしかないのだけれども、それは人それぞれ感じ方が違うというようなことが書いてありました。将棋も、理詰めのところもあるけれど感性が表れるゲームだと私は思っているんです。人それぞれ、同じ局面を見ても感じ方が違うし、そういうところがこの言葉と合うかなって。

高田 感性というと結局広くいえば芸術の世界ですよね。文芸の世界であり、絵画の世界であり、音楽の世界である。そういうものと将棋は共通したものを持っているということですね。

中井 たとえば同じ将棋を指していても、その日の気分で指し手が違ったりとか、そういうこともありますよね。だから計算とかで割り切れるものではないような感じがするんです。

(以下略)

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「鏡花水月」、本当に美しさのある言葉だと思う。

漢字の組み合わせが似ている言葉としては、「明鏡止水」、「花鳥風月」、「雪月花」などがあるが、印象はだいぶ異なる。

「花鳥風月」と書いた扇子を使ったら、将棋は絶対に負けそうだ。

ステーキ店での羽生・森内戦

羽生善治名人に動じない森内俊之九段の過去の1シーン。

将棋マガジン1990年2月号、河口俊彦七段の「対局日誌」より。

 A級順位戦の大山-塚田戦がありB級1組と2組の順位戦もある、という豪華な日である。

 こういうときこそ、昼間からじっくり観戦して、表情の変わりようをお伝えしたいのだが、あいにく私も羽生と対戦していた。短時間戦だったが一分将棋が長くつづいて、終わったのは七時をすぎていた。(当然ながら私が負け)

 まずは腹ごしらえと、羽生と私、それに、森内、先崎、弦巻カメラマンと五人で外へ出た。普通はすしか、うなぎか、中華料理か、軽くならそば屋だが、先崎の提案で、ステーキ屋へ行くことになった。

 そういうとき、どんなことを話すかといえば、たとえばこんな話である。

 本誌新年号の、マンガについてあれこれ言ったあと、

「そういえば、清水市代さんはおもしろいんですよ。研究会へ来るんですが、奨励会員のときは素顔で化粧なし。ところが、塚田さんや中村さんの会のときは、ちゃんと化粧して来るんです」

 だれかが「そんなの、当たり前だよ」と断定した。清水さんは、やっぱり棋士なのである。

 食事が終わると、羽生がサッと立ってレジへ行った。先崎が「すかさず羽生が勘定を払った、と書くんでしょうね」と私に言った。彼は羽生のところへ行き、千円札を何枚か差し出した。羽生が「エッ?(これが口ぐせ) なんですか」

「すきなだけ取って下さい」

「何枚でもいいんですか」

「どうぞ」

 まるで、モノポリーではないか。羽生は一枚か二枚取った。弦巻さんは自分の分を払い、森内と私は「勝たしてもらいましたから」と羽生が言うのでご馳走になった。

 森内がお金を払わないのは、ケチだからではない。そんなことに気を遣わない大人だからである。

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「そういえば、清水市代さんはおもしろいんですよ。 ~」と話したのは、先崎四段か森内四段か羽生六段のうちの誰かだが、先崎四段のような感じがする。

「そんなの、当たり前だよ」といかにも言いそうなのは、弦巻カメラマン。

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”本誌新年号のマンガ”とは、「8一School 1-4組」。

新年号から連載が開始されており、原案が清水市代女流三段で、画が村田ヒロシさん。

「ハイスクール イチヨ組」と読む。

丸山九段とホットケーキ

丸山九段の昔の得意技。

近代将棋2004年6月号、大矢順正さんの棋王戦第4局観戦記「谷川、16年ぶり、棋王に」より。

 丸山棋王の超暑がりは知る人ぞ知る有名な話。

 このシリーズでも対局場検分で一番気にしたのが部屋の空調であった。暑がりのせいと関係あるかどうかは分からないが水分補給も半端ではない。

 その水にもこだわる。今回も東京で飲みなれている水のボトルを事前にホテルに送っている。

 さらにおやつにはホットケーキとバナナが定番になっている。その健啖家ぶりは加藤九段に勝るとも劣らない。この日も分厚いホットケーキとバナナが用意されていた。

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将棋棋士の食事とおやつのデータによると、2003年の棋聖戦と2004年の棋王戦での丸山九段の午後のおやつ実績は次の通り。

2003年棋聖戦

第1局 ホットケーキ2枚、フルーツ、アイスミルク、アイスレモンティー ●

第2局 ホットケーキ、フルーツ盛り合わせ、フレッシュジュース ●

第3局 ホットケーキ、フルーツ、紅茶、(約1時間後に追加注文)ホットケーキ ●

2004年棋王戦

第1局 ホットケーキ、フルーツ 、オレンジジュース、アイスミルク ●

第2局 ホットケーキ、フルーツ盛り合わせ 、 オレンジジュース、アイスミルク ●

(第3局、第4局は中継で言及がなかったため記録無しだが、上記の通り第4局はホットケーキ、バナナなど)

2001年と2002年の名人戦でのおやつではホットケーキは注文されておらず、オーソドックスなおやつだった。

ホットケーキは、一日制のタイトル戦での丸山九段の秘策なのかもしれない。

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ホットケーキは、バターとメープルシロップだけのオーソドックスなものが好きだ。

世界的にはホットケーキ=パンケーキということで、アメリカではハムエッグとパンケーキの組み合わせなどの朝食も一般的らしい。

元々がやや甘めのホットケーキと塩辛いハムエッグの取り合わせが個人的にはミスマッチに感じられる。

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甘いものと塩辛いものの取り合わせで最も疑問に感じる食べ物の一つが生ハムメロンだ。

酢豚に入っているパイナップル、冷麺の中のスイカ、ポークソテーにつけるジャムなど、更に疑問の大きい食材もあるが、今回は生ハムメロンに話を絞りたい。

初めて生ハムメロンを食べた時、それぞれ別々に食べればそれぞれ美味しいものを、なぜ一緒に食べなければいけないのだろうと思った。要は生ハムとメロンを一緒に食べて、ものすごく美味しくなかったということだ。

その後、生ハムメロンを食べることがあるときには、別々に食べるようにした。

しかし、更にその後、料理として確立されている生ハムメロン、生ハムとメロンを一緒に食べなければ生ハムメロンの真髄を理解することは一生できないのではないかと思い、一緒に食べるようにした。

でも絶対に美味しくない。

ある日、私は発想の転換をはかってみた。

「生ハムメロンは生ハムを美味しく食べるため料理ではなく、メロンを美味しく食べるための料理なんだ」。

そのように思い込んで生ハムメロンを食べると美味しかった。メロンが。

塩辛い生ハムをメロンに乗せることにより、メロンの甘味がよりいっそう強調されたのだ。

しかし、元々甘いメロンをそこまでして食べる必要があるのだろうかという疑問が残った。

今回、Wikipediaで調べてみると、

日本のメロンでは、甘み・香りが強く、日本の生ハムは塩分が薄い。それにより、生ハムとメロンの風味が合わなくなり、好みが分かれる料理でもある。一方、イタリアなどの生ハムは塩分が強いうえ、メロン(カンタロープ)は、甘み・香りが薄い野菜に近いものである。

とある。

…やはりメロンを美味しく食べる料理ではなかったのだ。もう、生ハムメロンを食べることはないと思う。

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ホットケーキのおいしい焼き方(NHK)

ホットケーキのおいしい焼き方(森永)